善意につけ込む偽情報 震災時に…なぜ投稿? SNSで「悲劇の現金化」が… 記者も実践! ウソを見極める方法とは【#みんなのギモン】
「拡散してください!息子が挟まって動けません」といった、出元がわからない被災情報を、複数のアカウントがコピーし貼り付けて投稿しているものもあります。
■なぜ投稿? 拡散されるほどお金が入る仕組みが…
これらに共通するのは、人の心に訴える内容であるということです。これを目にした一般ユーザーは「早く助けたい」と思って拡散する。それが狙いだとみられます。 支援金を求める偽の投稿は、直接お金を得ようと目論んでいます。また、そもそも投稿が拡散されるほどに、お金が入る仕組みがあります。それが、ツイッターがXに変わり、去年8月に日本でも導入された「広告収益を分配するシステム」です。 有料課金ユーザーになって一定の条件を満たせば、投稿して一定の閲覧数を獲得した場合に、その投稿に企業が広告を掲載し、広告料が投稿主にも分配される仕組みです。 収益を得たい投稿主は「閲覧数を稼ごう」とするかもしれません。
■「悲劇の現金化が起きている」と専門家 SNS事業者の対策は?
ソーシャルメディアに詳しい桜美林大学の平和博教授は「悲劇の現金化が起きている」と話します。 桜美林大学 平和博教授 「能登の地震だけでなく、同じアカウントが羽田空港の事故などでもコピーして貼り付けただけの情報を、繰り返し投稿している」 「悲劇に便乗して収益を得ようとするユーザーがいる。また、結果的にそれを広告主の企業が後押しする形になっている。こうしたサービスを提供しているSNS事業者にも問題があり、対策を取っていくべき」
■災害時に偽情報は発生するもの…疑いの目を持とう
一方で、災害研究が専門の東京大学大学院情報学環総合防災情報研究センターの関谷直也教授は、次のように指摘します。 東京大学大学院 関谷直也教授 「災害時には多くの人が不安や救助が行き届かないことへのいらだち、善意といった共通の心理を抱えるが、それに沿う情報は広まりやすい。その中に誤情報や偽情報も含まれる。災害時には誤情報や偽情報は発生するものだと理解して、疑いの目を持つことも大事」
■岸田首相も事業者に対応を要請
4日、岸田首相も記者会見で「悪質な虚偽情報は決して許されるものではない」としてSNSの事業者に対応を要請していると述べました。 偽情報が混じっていると救助活動に混乱が起き、本当に助けが必要な人の救助や支援を遅らせることにもなります。