「私の執念のような思いを共有してくださる方もあるのではないか」自民党裏金問題を告発した上脇博之教授の新書に注目[新書ベストセラー]
7月30日トーハンの週間ベストセラーが発表され、新書第1位は『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』が獲得した。 第2位は『吾妻鏡 鎌倉幕府「正史」の虚実』。第3位は『新型コロナは人工物か? パンデミックとワクチンをウイルス学者が検証する』となった。 4位以下で注目は6位に初登場の『検証 政治とカネ』。政治とカネ問題を追求し続ける神戸学院大法学部教授上脇博之さんの著書。上脇教授は自民党派閥の政治資金パーティーの裏金問題を調査、告発してきた火付け役。同書では裏金問題のみならず、広い視点からみた政治にまつわるカネの流れや、金権政治がはじまった理由・歴史を解説。また市民の手で問題を追求する大切さと究明方法、さらには金権政治に陥らないための本質的な政治改革を目指した提言がなされている。上脇教授は同書の冒頭「プロローグ」で同書を読み終えたとき読者は「政治とカネ」問題の専門家になっていると述べ《「日本における法律・制度が議会制民主主義に反している」という私の理論的見解と「だからこそ刑事告発している」という私の執念のような思いを共有してくださる方もあるのではないか》と期待をあらわしている。
1位『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』三宅香帆[著](集英社) 「大人になってから、読書を楽しめなくなった」「仕事に追われて、趣味が楽しめない」「疲れていると、スマホを見て時間をつぶしてしまう」……そのような悩みを抱えている人は少なくないのではないか。 「仕事と趣味が両立できない」という苦しみは、いかにして生まれたのか。 自らも兼業での執筆活動をおこなってきた著者が、労働と読書の歴史をひもとき、日本人の「仕事と読書」のあり方の変遷を辿る。 そこから明らかになる、日本の労働の問題点とは? すべての本好き・趣味人に向けた渾身の作。(集英社ウェブサイトより)
2位『吾妻鏡 鎌倉幕府「正史」の虚実』藪本勝治[著](中央公論新社) 鎌倉幕府草創から中期までの事績を記した『吾妻鏡』。源頼朝挙兵に至る経緯、二代将軍頼家の暗愚、三代執権北条泰時の武勇と仁徳ほか、小説やドラマが描く挿話の多くはこの史料に基づく。幕府の公式記録とも言われるが、史実の錯誤や改変も少なくない。本書では平家追討、奥州合戦、実朝暗殺、承久の乱など主要な合戦や争乱の叙述を、近年の研究も踏まえて検証。「正史」に潜む虚構を洗い出し、隠された意図を明らかにする。(中央公論新社ウェブサイトより)