現役Jリーガーの自主トレに“密着”。「来たら変わる」充実のキャンプで行われた多岐に渡るメニュー【後編】
今週末、明治安田Jリーグの2024シーズンが開幕する。各クラブは1月に始動し、キャンプや練習試合を通じて開幕に向けて調整していくが、選手はオフの時期から動き出している。今回は、FC町田ゼルビアに所属する鈴木準弥らが開催した2泊3日のトレーニングキャンプの様子に迫る。(取材:Footballcoach、構成:編集部)
●「プロの選手として上を目指すなら重要な時間」 通常、Jリーグの各クラブは1月に始動し、2月下旬の開幕に向けて調整していく。J1に昇格したFC町田ゼルビアを例にすると、1月14日に町田で始動し、19日~24日は沖縄県名護市、25日~2月1日は同県うるま市、2日~10日は宮崎県東諸県郡綾町でそれぞれキャンプを張る。始動から開幕までは約40日間の準備期間が設けられている。 ただ、選手たちは新シーズンに向けて、オフシーズンからすでに動き出している。前のシーズンの最終節から始動日まではオフシーズンとなるが、選手はずっと休んでいるわけではない。 町田に所属する鈴木準弥は、大学時代から親交のある河岸貴氏らとともにトレーニングキャンプを開催した。鈴木の地元でもある静岡県沼津市で行われた2泊3日のこのキャンプには13人の現役選手が参加し、トレーニングだけではなく、栄養士や弁護士といった専門家による座学(講義)も行われている。早稲田大学を卒業し、ドイツでもプレー経験のある鈴木は「プロの選手として上を目指すなら重要な時間」と話し、充実した様子を見せた。 河岸氏はVfBシュトゥットガルトで通訳や指導者、スカウトなどを歴任し、現在はエージェントとして現役選手をサポートしている。ブンデスリーガの名門で日本代表だった酒井高徳や岡崎慎司、まだ10代だったアントニオ・リュディガーやティモ・ヴェルナーらを間近で見てきた河岸氏は「ピッチ外の準備があって初めて、ピッチ内で最大限のパフォーマンスが出せる」と話す。今回のトレーニングキャンプの目的についてもこう話していた。 ●「来たら変わる」3日間のキャンプで行われたメニューとは… 「来たら変わると思う。選手たちで集まるのももちろんいいけど、やっぱりどこかで甘えが出てしまう。本当に良くなりたいなら、こういうところでもう1度自分を奮い立たせてやるのは大事」 3日間に渡るキャンプの1日目は身体づくりを学ぶ時間に充てられた。一般社団法人国際食学協会理事を務める地曳直子氏を招いて行われた講義のテーマは、『サッカー選手に必要な資質の正しい知識』。その後には、柔道整復師でトレーナーの染谷学氏が『怪我のリスクを格段に減らせる正しい身体操作』についての講義を行った。 2日目に行われた初のトレーニングでは、矢野玲フィジカルコーチも加わり、河岸氏の指導の下、『BoS理論』を軸にしたトレーニングも行われた。さらに、午後はハノーファー06で通訳を務めた上藤響氏が『言語の重要性』について講義を行い、矢野コーチ、河岸氏の下で強度の高いトレーニングを実施した。2日目を締めくくる講義では、FIFA Football Agent ライセンスを保持する羽柴弁護士を招き、『サッカー選手をめぐる法律問題』について選手たちは学んでいる。 最終日となる3日目には、トレーニングマッチも行われた。所属クラブも異なり、このキャンプで初めてともにプレーする組合せも多い中で、20分×3本のトレーニングマッチを実施した。 河岸氏は「来年以降もこの場所でやりたい」、鈴木も「すごく充実しているし、楽しい」と話していた。 (取材:Footballcoach、構成:編集部)
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