村尾三四郎“幻の技あり”は微妙判定もルール原則通りで「誤審」ではない 金メダルに「一押し」足りず
「パリ五輪・柔道男子90キロ級・決勝」(7月31日、シャンドマルス・アリーナ) 村尾三四郎(23)=JESグループ=は、東京五輪金メダリストのラシャ・ベカウリ(ジョージア)と対戦。谷落としで「技あり」を先取したものの、合わせ技一本で逆転負けし、惜しくも銀メダルとなった。 【写真】「誤審」ではない 果敢に攻めるも投げ技判定認められず ◇ ◇ ◇ ◇ 微妙な判定ではあったが“誤審”とまでは言えず、五輪連覇を果たしたベカウリ(ジョージア)の方が一枚上手だったと言うしかない。 村尾が谷落としで「技あり」を先制し、追いつかれた後、村尾得意の内股でベカウリの体が浮いて飛んだが、畳に着いたのは尻もちと右肘だった。ルール上、尻もち+両肘は「技あり」になるが、片肘だけだとポイントにならない。大会によってはこの体勢で「技あり」を取ることもあるものの、今回は原則に従った形になる。日本男子の鈴木桂治監督は「今大会5日間を見ていると(この形では技ありを)取ってない」と傾向を分析した上で、「(判定には)納得してます。どうしても(技ありが)あったでしょ?と(抗議して)言うほどではなかった。仕方ない」と、無念そうにしながら受け止めていた。 “幻の技あり”の直前には、ベカウリの払い巻き込みで村尾も同じような体勢で倒れているが、「技あり」は入らなかった。村尾の内股だけにポイントを認めていたら、判定基準がブレることにもなる。コーチボックスに入っていた小野卓志コーチは、試合中は村尾のポイントをアピールしていたものの「ベカウリのあれ(払い巻き込み)が入ってないので、村尾のも入ってないのは仕方ない」と受け止めつつ、最初のポイントとなった谷落としは力強く決まっただけに「あれが一本なら」と述懐。「(金メダルまで)あとちょっとだったけど…」と肩を落とした。 また、内股で相手の尻もちをつかせた後、そのまま押し込んで背中か両肘をつけさせていれば「技あり」が入ったものの、村尾が「ギリギリの戦いだった」というように、紙一重の攻防だった。大善戦だったが、金メダルには“あと一押し”足りなかった。(藤川資野)