<スロウトレイン>演出・土井裕泰と脚本・野木亜紀子が対談 「ホームドラマは無くならない」 オリジナルを生み出す力
俳優の松たか子さんが主演した新春スペシャルドラマ「スロウトレイン」が1月2日午後9時からTBS系で放送された。演出を担当した土井裕泰さんの定年前の“卒業制作”となった今作。土井さんが「オリジナルを書いた方がいい」と見込んだ野木亜紀子さんが脚本を手がけた。“新時代のホームドラマ”と銘打たれた今作の成り立ちについて、またドラマの今後について、2人が語った。 【写真特集】星野源のバックハグに新春からノックダウン! 松たか子、多部未華子、松坂桃李が3きょうだい演じた 貴重な放送後解禁の場面カット
◇「野木さんとオリジナルをやりたい」と5度目のタッグ
「スロウトレイン」は、松さん演じる鎌倉に住むフリー編集者の長女・葉子、多部未華子さん演じる30歳を過ぎてもフラフラしており、突然、韓国に行くと言い出す妹の都子、松坂桃李さん演じる江ノ島電鉄で保線員として働く弟、潮の3きょうだいと、その周囲の人々が織りなすホームドラマ。3きょうだいの人生に大きく関わる人気作家の百目鬼見(もめき・けん)を星野源さん、日本のドラマ初出演のチュ・ジョンヒョクさんも出演し、2024年1~3月に撮影し、韓国・釜山ロケも行った。
土井さんは、2024年春に60歳の還暦を迎えた。TBSのドラマディレクターとして「一つ区切りになるような作品を」と考え、野木さんに声をかけたという。野木さんは「土井さんに“卒業制作”を撮りたいって言われたら断れないですよね」と笑う。
2人は、TBS系の連続ドラマ「空飛ぶ広報室」(有川浩(当時)さん原作、2013年)、「逃げるは恥だが役に立つ」(海野つなみさん原作、2016年)、「重版出来!」(松田奈緒子さん原作、2016年)と映画「罪の声」(塩田武士さん原作、2020年)で4度タッグを組んだが、いずれも原作ものだった。
土井さんは、野木さんにはオリジナル脚本を書いた方がいいと以前から感じていたといい、今作も声を掛けたのは、「野木さんとオリジナルをやりたいというのも大きな理由だった」という。
それがホームドラマになったのは、「野木さんが忙しいことは分かっていたし、やるとなるとものすごく徹底的に取材とか下調べとか準備をする人だと知っていたので、そこまですごく負荷がかからないものを、と。あと、僕は野木さんの『コタキ兄弟と四苦八苦』(テレビ東京系、2020年)が大好きだったので、『コタキ兄弟~』みたいなテイストで、家族やきょうだいの話を描きながら、今の人たちの割とリアルな悩みとか多様性などが透けて見えるような話ができるんじゃないかと思って。そういう意味でのホームドラマができたらいいなと思いました」と語る。