「水虫」はがんのサイン!? 皮膚がんの一種“メラノーマ”との関連性を報告 東京慈恵会医科大学
研究を実施した背景とは?
編集部: 今回の研究を実施した背景について教えてください。 高藤先生: メラノーマは色素をつくる細胞のがんで、進行すると高い致死率を有しています。日本人の場合、足の裏に発生するタイプのメラノーマが最多です。研究グループは、足の裏のメラノーマの発生には物理的刺激との相関が想定されていたことに対して「足の裏への物理的刺激が多い陸上アスリートにメラノーマが発生しやすいという報告はない」などの理由から、こうした従来の想定に疑問を持っていました。研究グループは胃がんがヘリコバクター・ピロリ菌の慢性感染症によって引き起こされるのと同じように、白癬菌の慢性感染症である水虫によって、がんが発生する可能性があると考えました。こうした背景から今回の研究テーマである、水虫と足の裏のメラノーマの関連性についての調査が実施されました。
研究グループが発表した内容への受け止めは?
編集部: 東京慈恵会医科大学の研究グループによる発表への受け止めを教えてください。 高藤先生: 水虫ができることで足底になんらかの炎症反応が生じ、それらが長期的に続いたことが今回の結果になり得ることは考えられると思います。ただし、そのほかの因子が関連していた、つまり「水虫になりやすい状態である」「糖尿病を発症していた」といった、別の因子が関係している可能性も考えられるでしょう。
編集部まとめ
東京慈恵会医科大学の研究グループは、水虫が足の裏のメラノーマという皮膚がんの一種の発生に関連があることを発表しました。研究グループは「今後、分子レベルで関連性を研究したい」と述べており、今後の研究成果についても注目が集まりそうです。