「売れなくても持続可能」ドラッグ店ゲンキーが地方スーパーを倒せる理由
■ゲンキーが地方の消費者に重宝される理由 こうして発見した300坪店舗に生鮮、惣菜をはじめとする食品一通りに日用消耗品、雑貨、化粧品、医薬品といった日常生活に必要な商品の大半を品ぞろえしているこの店は、実際にとても便利なのである。特に地方で共働き子育て中の世帯にとっては、近くにあって会社帰り(クルマ通勤が前提)にちょっと不足するものを買い足せるような店、として重宝しているようだ。 また、高齢化の進行で機動力が低下しつつある地方の消費者にとって、近くにあって何でもそろうこの店の利用頻度は高くなるだろう。ただ、この便利店は品ぞろえのいい大きなコンビニのような存在なので、そこまで繁盛するというわけではない。そこそこの売り上げでも維持できる構造になっていなければならない、いわゆる損益分岐点の低い店であることが求められる。ゲンキーのレギュラー店はこの点で優等生なのである。
店舗あたりの損益分岐点を計算して比較するとなるとなかなか難しいので、簡易的に、(販管費/粗利率)/店舗数で出してみる。ゲンキーは3.25億円ほどの店舗あたり損益分岐点売上になる。これはかなり優秀な店ということを示している。 ■売れなくても維持しやすいゲンキー この会社が店舗展開している中部地方あたりにもあるドラッグストア、食品スーパーと比較してみると、ゲンキーは最優秀=市場縮小が進んでも最後まで存続することができる店、だということがわかるだろう。
特に、この会社が実質的に食品スーパーとしての機能を中心としていることを考えれば、食品スーパー各社より圧倒的に持続可能であるといえる。あえてもってきた、都内のコンビニサイズ(30~60坪)のミニスーパーまいばすけっと、は2.05億円と極めて低いが、ゲンキーは10倍の大きさの店であることを考えると、いかに売れなくても維持できるのかがわかるだろう。 地方での食品流通市場は人口減少とともに縮小していけば、そこに存在するスーパーは、損益分岐点が高い店から順に撤退を余儀なくされる。しかし、ここ20年の間に地方ではスーパーの競争が激化し、広い駐車場と広い売場(500~700坪ほど)に豊富な品ぞろえを備えていない店はかなり淘汰された。