急病で弟を亡くしたことで医療の道を志す…徳田虎雄氏を偲ぶ会、徳之島住民ら献花し祭壇に手を合わせる
鹿児島県徳之島町で12日、開かれた「徳田虎雄氏を偲ぶ会」(実行委員会主催)。会場となった同町文化会館には関係者や地元の人たちが次々と訪れ、在りし日の徳田さんをしのんだ。式典終了後には全員が献花し、遺影が飾られた祭壇に手を合わせた。 【写真】会場で展示された徳田さんの遺品
徳田さんは同町出身。子どもの頃、急病で弟を亡くしたことをきっかけに医療の道を志し、大阪府に病院を開設。その後も「生命だけは平等だ」との信念のもと、「24時間・年中無休」の病院を全国展開した。徳田さんが創設した「徳洲会グループ」は現在、県内の11施設を含め、全国で約400の病院、福祉施設を運営している。
2002年に全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病の「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」と診断され、療養生活を続けていたが、7月に入院先の病院で亡くなった。
偲ぶ会は「徳田さんの偉業を振り返り、地元で追悼をしよう」と、徳之島、天城、伊仙の地元3町や徳洲会グループなどによる実行委員会が主催した。
来賓として出席した三反園訓衆院議員が「先生の遺志を引き継ぎ、奄美の(人々の)暮らしをよくすることを誓います」と弔辞を述べた。塩田知事は「功績は計り知れない。郷土・鹿児島の発展を見守ってください」とのメッセージを送った。
はきつぶした靴や手帳も展示
遺族を代表して次男・毅さん(53)が「(開催に)尽力いただいた徳洲会、地元3町などの方々に心から感謝申し上げます」とあいさつした。
会場には徳田さんの活躍を振り返るパネル写真が掲げられたほか、スケジュールを記した手帳、はきつぶした靴なども展示された。訪れた人たちは、閉会後も名残惜しそうに品々に見入っていた。