【バスケ】川崎との激闘を1勝1敗で終えたサンロッカーズ渋谷がCS進出に望み残す 田中大貴「どうしてもCSで戦いたい」
シーズン前に紹介された豪華な机上の戦力とは裏腹に、苦悩の1年を送ってきた。 それでもなんとか、もってきた。 サンロッカーズ渋谷は27日と28日、ポストシーズンの椅子を直接的に争う川崎ブレイブサンダースとの2戦を1勝1敗で終え、チャンピオンシップ(CS)進出の可能性を残した。 あまりに重たい意味を持つ28日の2戦目。前日、敗れていた渋谷は薄氷の思いで、白星を掴んだ。 渋谷は試合残り3分を切って12点のリードを築くも、今季をもって引退するニック・ファジーカスのホーム最終戦に華を添えたい川崎が、ファジーカス自身によるものも含めて4本連続で3Pを沈め、残り12秒で同点とする。 しかし、直後のオフェンス。渋谷は田中大貴がコーナーからのドライブインでレイアップをねじ込み、再リード。タイムアウトが解け、試合時間残り3秒。川崎は藤井祐眞がシュートを打てずそこからパスを受けたファジーカスが逆転の3P を放つも、入らず。渋谷が79-77で、歓喜と嘆息が入り交じるとどろきアリーナでの激闘を制した。
ベテラン田中が“経験”生かし決めた決勝点
前日の試合も川崎が1点差(69-68)で勝利する僅差となったが、渋谷のルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチは試合後、「再びこことどろきアリーナにおいて、ドラマチックな試合となりました」と述べた。その表情と声から疲労の色は隠せていなかった。無理もない。12点差をつけ試合を手中にしたかと思ったところからの川崎による同点劇で、肝を冷やさない者などいるはずはなかった。 27日の敗戦ではフィールドゴール7本のうち1本も決められず無得点に終わった32歳による決勝レイアップは、シーズンが終わった時に渋谷の1年の中でも最も貴重なものとなるかもしれないシュートだった。 ベテランならではの「読み」が奏功した、シュートだった。トーマス・ウィンブッシュが同点3Pを決めた時点で渋谷にはもうタイムアウトは残されておらず、そのまま攻撃をせざるをえなかったものの、コーナーに位置取っていた田中は時間がない中、それまでの川崎の守り方の傾向からどう動くべきかと瞬時に判断した。 「コーナーのところで自分も昨日、篠山(竜青)選手にスティールをされましたが、そこで寄ってくるので、もし自分のところにパスが来たら縦に(リング方向に)割れるなっていうのは構えながら思っていました」(田中) リングに押し寄せる田中の前に長谷川技が立ちはだかるも、田中は構わず跳躍。フィンガーロールで放ったボールはゆっくりとリングに吸い込まれた。 これで渋谷はシーズン成績を33勝25敗とし、B1中地区の3位へと浮上。自動的にCSへの出場となる2位のシーホース三河はこの日、佐賀バルーナーズに敗れて34勝24敗となった。ワイルドカード争いでも、同1位の広島ドラゴンフライズ(35勝23敗)、同2位の千葉ジェッツ(34勝24敗)に肉薄している。