秀ノ山親方、故郷・福岡から臨む九州場所、厳しさと愛情とともに10代の力士と向き合う日々
10日に福岡市の福岡国際センターで初日を迎える大相撲九州場所で、秀ノ山親方(40)=元大関琴奨菊=が独立後初めての本場所に臨む。宿舎は故郷の福岡県柳川市。支えてくれた地元への思いを胸に勝負を挑む。 ■発生率0.01%の大技【動画】 同市出身の第10代横綱雲龍をたたえる「雲龍の郷」にある屋根付きの土俵。「遊びじゃないんだよ。しっかりやれ。仕事だろ」。基礎運動から親方の厳しい声が飛ぶ。雨の中で行われた1日の朝稽古は新弟子検査の関係で5人の力士のうち3人しかいなかったが、緊張感が漂っていた。 「指導者といって思い出すのが、自分をスカウトしてくれた先代の佐渡ケ嶽親方(元横綱琴桜)。厳しくて緊張感がある稽古場で、気を抜いているそぶりをすると声が飛ぶ」。今の若手には「すぐに限界を決めてしまう傾向がある」と指摘する秀ノ山親方は「『厳しさが愛情だ』と(力士が)思うくらい厳しく育てなければという責任を感じる」と力を込めた。 その気持ちは若い力士には伝わっている。昨年の金鷲旗高校柔道大会で3位に入った福岡・大牟田高の副将だった序二段の誠雄(19)=同市出身=は「普段は優しいし、周りに気遣いもされる。稽古での助言もためになる」と感謝する。 力士は全員10代で、新弟子1人以外は序二段。若手との距離を縮めようとグループLINE(ライン)をつくり、自身の考えを伝える。「言うだけでなく、見た方が気付くことが多いから」。人数が少なく稽古に専念させるため、ちゃんこを準備する専属のマネジャーも採用した。「ちゃんこ番は若手にとって(稽古からの)抜け道になる恐れがあった。時間がもったいない」と明かした。 「柳川に恩返しがしたかった」と西鉄柳川駅近くの公民館を宿舎にした。「基礎をしっかりつくって強い力士を育て、大きな部屋になって、故郷にもっと恩返しできれば」と夢を語った。(林 原弘)
西日本スポーツ