誤り訂正できる光量子コンピューターに前進、基本素子「GKP量子ビット」を実現 東大など
研究グループは次にこの光子検出器を活用。多数の光の粒を含む1つのパルスから特殊な光の状態(ピーク)をつくり出すことに成功した。これにより大量の量子ビットを並べた状態と同様の働きをする論理量子ビットのGKP量子ビットを実現させたという。
超電導やイオンを利用する量子コンピューターでは、既にGKP量子ビットを実現させて誤り訂正機能に成功したとする成果発表もある。しかし、大量の量子ビットが必要で、計算機が大型化し、電力消費も大きい。今回、論理量子ビットを光で生成したことで、実用レベルのサイズの量子コンピューター実現に近づいた形だ。
古澤教授の「誤り耐性型大規模汎用光量子コンピューターの研究開発」は政府が進める「ムーンショット型研究開発制度」の目標6「2050年までに、経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現」の中の有力研究に位置付けられている。
研究グループは、これまで光量子コンピューターの計算能力を高める手法や、従来は困難とされた「かけ算」を可能とする手法を開発してきた。今回の成果を受けて9月ごろには実用化に向けたベンチャー企業を立ち上げるという。研究成果は1月19日付の米科学誌「サイエンス」に掲載された。