社用車を預かる時に「従業員が修理費用の50%を負担する」という書類にサインしましたが…もしかしてブラックでしょうか?
営業で得意先を回るときや送迎・運搬などで、社用車を使用する機会がある仕事に就いている人も多いでしょう。 社用車を会社から預かる際に、車が故障したときに従業員が修理費用の一部を負担するよう書かれた書類にサインを求められた場合は、どうしたらよいのでしょうか。 本記事では、従業員が社用車を故障させた場合の損害賠償について、事前の契約はできるのか、修理費用の負担はどのようになるのかを詳しくご紹介します。
従業員が損害賠償をする旨の契約をしてもいいのか?
事故は誰でも起こす可能性があるため、会社が従業員に社用車を預ける際に「万が一のときは修理費用の50%を従業員が負担すること」などの契約を求めてくることがあるかもしれません。 しかし、労働基準法第十六条では「賠償予定の禁止」が定められており「使用者が従業員に対して損害賠償を予定する契約をしてはならない」とされています。 つまり、事前に雇用契約書や就業規則などで修理費の費用負担について定めておくことはできないため、注意が必要です。
従業員の損害賠償責任はどうなる?
事前の契約は禁止されていますが、従業員が社用車で交通事故を起こした場合に、損害賠償責任を問われることがないわけではありません。 民法第七百九条により「不法行為による損害賠償責任」を負うことになる可能性はあります。 ただし、すべての責任を、従業員だけが負うことにはならないでしょう。 責任者が再三注意したにもかかわらず、従業員の落ち度や怠慢によって過失があった場合、使用者は、民法第七百十五条が定める「使用者等の責任」と、自動車損害賠償保障法第三条が定める「自動車損害賠償責任」を問われることになる可能性があります。
社用車が故障した場合の修理費用の負担はどうするべき?
このように、使用者と従業員のそれぞれに責任が生じるため、修理費用は分担して負担することになるケースが多いでしょう。 従業員の負担割合については、過失の程度や内容による部分が大きいと考えられます。 例えば、業務時間外に社用車を勝手に使用して事故に遭い、故障させてしまった場合などは、従業員の負担が大きくなる可能性があります。 業務に必要な運転をしていて、きちんと交通ルールを守っていたにもかかわらず、追突されて事故に遭ってしまった場合とは、事情が変わってくるでしょう。