アジアゾウが死んだ子ゾウを埋葬、初の証拠、どれも茶畑の溝に上下逆さまの姿勢で
他にも目撃情報が
リドル氏がアジアゾウ専門家グループにゾウの埋葬行動について尋ねたところ、誰も目撃したことがなかったという。「これはどうやら、インド北東部の茶畑に特有の行動であるように思われます」 しかし、論文が発表された後、著者らには、引退した森林局管理官や農園管理者から、過去にも同じように埋葬されたところを見たという報告が寄せられている。 インドの非営利団体「共存コンソーシアム」の責任者アリトラ・クシェトリー氏も、論文に登場する現場のひとつであるニュー・ドゥアーズ茶園を含むベンガル地方北部で、同様に埋められた子ゾウを目撃したと語る。 ある場所では、母ゾウが死んだ子ゾウを一日中運び続けていたという。そして翌朝、氏は「子ゾウが脚を上向きにした姿勢で埋められている」のを発見し、周囲にはゾウの足跡がたくさんついていた。 「状況証拠は、これら一連の出来事が単なる偶然ではないことを示しています」と氏は言い、ゾウたちが子ゾウをあの姿勢で置いたことは明らかだったと付け加えた。 もし子ゾウが溝に落ちたのだとすれば、「頭から先に落ちて、前脚が溝に入り、後ろ脚は斜面にかかる形になるでしょう」と氏は言う。
さらなる証拠を
しかし、スクマール氏もリドル氏も、ゾウが子ゾウをわざとあの姿勢で置いたことには疑念を抱いており、何が起こっていたのかを示す写真などの確かな証拠を見たいと思っている。 「1頭か2頭がこうした状態で見つかることはあるでしょう」とスクマール氏は言う。しかし、「すべて別々の群れに属していた子ゾウが5頭、これほどの短期間に、同じ姿勢で埋められているのが見つかるのは奇妙です」 両氏は、論文の報告内容を否定しているわけではない。 リドル氏は言う。「動物というのは概して、まったく予想外の行動をとるものですから」
文=Laurel Neme/訳=北村京子