あなたは安全地帯に留まっていませんか…!? ITの導入で広がる格差社会の中で勝ち組になるための「秘訣」とは
最大の問題点とは
ところで、そのコンフォートゾーンは、本当に安全地帯なのでしょうか?そのスーパーの話では、コンサルタントが考えたのは「従来のコンフォートゾーンをなくすこと」でした。レジ打ちだけの人は給料ダウン、セルフレジへの対応を学び販促や企画も担当する人は給料アップと明示したといいます。 いままで通りの居場所はないですよ、とはっきり伝えたそうです。するとたしかに反発はあったそうですが、ほとんどの人は新しい体制に最終的に納得したそうです。もちろん、最後まで抵抗し退職した人もいるそうですが、少数に留まったといいます。なんと、給料ダウンを受け入れて、仕事はそのままという人もいたそうです。 まさに人それぞれ、です。こうなってしまう原因は先ほどの「いい会社に入りなさい教育」にも一因があるでしょう。「いい会社に入る」ことは本来目的ではなく手段であるはずです。 最大の問題は、ビジョンがないことです。自己実現までいかないまでも、自分がどんな仕事をして、どんな人生を送るのかという大きな目的、いわばKGI(Key Goal Indicator)もないのです。どんな会社に入って、そのためにどんな大学で何を学ぶのか、どんな高校に入るのか、そのためにどんな勉強をするのか。 それらはいわばKPI(Key Performance Indicator)です。成績や受験結果は数字で把握できます。そのKPIはすべて、KGI、ビジョンを実現するための指標です。KGIなきKPIは、ただの数値にすぎません。人生のKGIがない状態で「学びましょう」「コンフォートゾーンを出ましょう」といっても、難しいのかもしれません。
本当に重視すべきものとは
よくWEBマーケティングを専門とする人で、さまざまな数値を重視する人がいます。PV、UU、滞在時間、CVR、エンゲージメント、ここに書ききれないほどの数値があります。しかも、さまざまなツールでそれらの数字は精緻に確認ができます。会議の席でこんな会話が行われるのです。 「流入数が先週から3%減っています」 「PVは増加傾向ですが、UUは増えていません」 「流入は増えているけれど、CVRが下がっています」 そして、それらに対する対策が考えられます。SEO用の記事を増やしましょう、改善しましょう。CVR向上のためにCTRを増やしましょう……。 本来は、「そもそもそのプロジェクトで何を実現するのか」、つまりKGIが重要であり、それを実現するための指標としてそれらのKPIがあるのですが、これでは細かな数字に踊らされているだけです。 『「日本人は臆病です」…米国の起業家教育No.1大学で教鞭をとる著者が語る「成功できる人」と「成功できない人」との決定的な“差”とは』へ続く
山川 恭弘