「ずるいくらいカワイイ」だけじゃない…台湾バレー界のアイドルがカノアラウレアーズ福岡に新風【Vリーグ女子】
バレーボールの新たな「Vリーグ」女子で、プレーオフ圏内の4位(11チーム)につけるカノアラウレアーズ福岡(福岡県福智町)に、インスタグラムのフォロワー数22万人超の台湾出身セッターがいる。27歳の廖苡任(リャオ・イーレン)は台湾代表キャプテンの経歴の持ち主で、今季新加入した。愛称は「イレイン」―。スピード豊かなトスワークとチームメートを引き付ける人柄でコートに新風を吹かせている。 ■「ずるいくらいカワイイ」台湾バレー界のアイドルの素顔【動画】 台湾での廖苡任の知名度は抜群で、アイドル級の人気を誇りながら、異国でのプレーを選択した。「同じアジアの中で日本のバレーはタフ。台湾とは違うスタイルで上手になりたかった」と向上心をのぞかせた。 カノアにはキャプテンの大西風歌(24)をはじめ、4人のセッターがいる。10月にリーグ戦が開幕してから、廖苡任は大西の46セットに次ぐ42セットでコートイン。「日本はチームによってスタイルが違います。速かったり、じっくりと攻めたり、動き回ったりします」。ここまでの12試合(9勝3敗)を終えての実感だ。戸惑いはない。むしろ「とても楽しい」と言い切る。絶やさない笑顔が、その証しだ。 持ち味のアップテンポなトスワークもチームにフィットしており、12月7日のフォレストリーヴズ熊本戦ではスタメンでストレート勝ちに導いた。森田亜貴斗監督(42)は「守備力も備えたフウカ(大西の愛称)は、どちらかというとテンポがゆっくりなので、イレインのトスが効果的になってくる」と説明。セッター対角のオポジットは、右打ちでスピーディーな湊ひかり(26)と、左打ちでパワフルな山本輝(25)を擁している。対戦相手や試合展開に応じて、セッターとオポジットの使い分けや「2枚替え」が可能になった。 森田監督が「イレインのストロングポイントの一つ」と明かしたのが「自責思考」だ。「彼女はプレーを含めて物事がうまくいかなかったときに他人や環境のせいにしない。必ず『私に原因がある』と口にする。これは簡単なようで、難しい。言葉もなかなか通じない中、相手に悪い思いをさせない。こちらが指摘しても『私はバレーボールを勉強しに来ているので』と真摯(しんし)に耳を傾け、受け止めてくれる」。森田監督は人間性の魅力にも触れた上で「今のチームは試合によって落差があり、80点のところもあれば、30点のところもある。その中でイレインは全てを平均的に、60点のバレーができる。そこをアベレージで80点まで引き上げていくことが、チームにとっても今後のテーマです」と補足した。 12月27、28両日に福岡県の田川市総合体育館で行われる倉敷アブレイズ戦でカノアの年内の試合は終了。全28試合のリーグ戦はちょうど折り返しとなる。深まるシーズンとともに、廖苡任も日本での生活に順応。好きな日本語も着実に増えている。秋の段階では「ダイスキ」だったのが、最近は恥じらいながら「アイシテル」も口にするようになった。ほとんどが年下のメンバーたちから「ずるいくらいカワイイ」と親しまれる理由は、その内面にもある。(西口憲一) ◆廖苡任(リャオ・イーレン)1997年6月8日生まれ。現在の台湾新北市出身。ポジションはセッター。台湾の「キングホエール台北」を経て2024年にVリーグ女子のカノアラウレアーズ福岡入り。身長167センチ。背番号「18」。愛称は「イレイン」。 【#OTTOバレー情報】
西日本新聞社