『降り積もれ孤独な死よ』灰川十三はいかにして殺人鬼となったか 初回に通じるエピソード
『降り積もれ孤独な死よ』(読売テレビ・日本テレビ系)第4話では、第1話冒頭につながる出来事が明かされた。 【写真】冴木(成田凌)を燈子見つめる(山下美月) 本作は、週刊誌記者の燈子(山下美月)が少女失踪事件を追う中で、過去に起きた灰川邸事件の関係者である元刑事の冴木(成田凌)を取材する構成をとる。冴木の脳裏によぎる2017年当時の光景は、ドラマでこれから起きる出来事を先取りするフラッシュフォワードの手法が用いられていた。 灰川十三(小日向文世)の死によって、13人の遺体が見つかった灰川邸事件は容疑者死亡のまま幕引きとなった。DV加害者をリンチする連続傷害事件の犯人が冴木自身であることも明かされた。残る謎は花音(吉川愛)を階段から突き落とした犯人が誰かということ。灰川が死を選んだのは、あるいは真犯人をかばっていたからかもしれない。 第4話は灰川のルーツをたどる旅だった。灰川の家族関係は定かではなく、戸籍も他人から買ったものと思われた。かろうじて手がかりになりそうなのは、かつて蒼佑(萩原利久)に語った一編の詩だった。 《降り積もれ孤独な死よ/灰の雪だけが知る/君がそこにいたことを》 「子どもの頃、唯一心を許した人に教えてもらった詩」であり、灰色の雪が降る場所で灰川は育ったのだという。冴木が行き着いたのは蔵土村。石炭工場からの大気汚染で灰色の雪が降る村で、50年前の1967年、一人の少年が父親を包丁でめった刺しにして殺す凄惨な事件が起きた。少年の顔にはあざがあった。 何を隠そう、この少年がのちの灰川である。第1話冒頭で全身に返り血を浴びた少年が雪の降りしきる中を歩む印象的な場面があった。資産家の息子だった創(上田琳斗)は村の外から来た画家の犬山(吉川界人)を兄のように慕う。そこで起きた悲劇こそ、リッカ(六花)、つまり雪の結晶を手のひらに刻んで別人として生きた灰川の原点だった。 灰川の死に関しては、捜査線上に浮上する顔にあざのある男が鍵を握っていると考えられた。灰川邸の生存者で連絡が取れない神代健流(杢代和人)の行方が気になったところ、顔にあざのある男との対決が第4話のもう一つのクライマックスだった。灰川邸に漂う人間の気配。事件発覚当時、灰川邸を離れていた花音によると、正面階段に架けられたゴヤの『我が子を食らうサトゥルヌス』は、以前はフェルメールの『真珠の耳飾りの少女』だったという。何者かが絵を架け替えたのだ。なぜ? 何のために?