意外と知らない、感受性が豊かすぎて「生きづらい人」と「生きやすい人」の差
わたしたちはいつまで金銭や時間など限りある「価値」を奪い合うのか。ベストセラー『世界は経営でできている』では、気鋭の経営学者が人生にころがる「経営の失敗」をユーモラスに語ります。 【写真】人生で「成功する人」と「失敗する人」の大きな違い ※本記事は岩尾俊兵『世界は経営でできている』から抜粋・編集したものです。
なぜ心労に苦しむのか?
最近では感受性が高すぎる人について話題になることが多い。 人間関係で苦しむ人がいれば、心労の原因にそれ以外の要因も存在する。 〈たとえば感受性が豊かな人は、音、光、匂い、味、触感といった五感のセンサーも優れすぎているとされる。 そのためそうした人たちは、一時間に一回ほどマンションの外を通る車の移動音で起きてしまったり、カーテンの隙間から漏れるわずかな月光が気になって眠れなくなったりする。そのうちに「このまま眠れないのでは」と頭が冴えてきて本当に眠れなくなる。 現代の仕事は頭と神経は疲れるのに身体は疲れないものが多い。そのためなおさら眠気が起きない。早朝になって、今から寝て仕事に遅刻したらまずい、と、一睡もせず始発で職場や学校に向かったりすることも頻繁である。〉(『世界は経営でできている』より) 刺激の原因を気にしすぎて疲れて、実際の人間関係の心労も加速していく、といったようなことも起きる。
どう解決したらいいのか?
こうした悩みに対して、「刺激が抑えられる環境を創造する」という解決方法をとる必要がある。 〈かくいう私も(このことを誰も信じてくれないことが一番の心労の種なのだが)繊細さんタイプの人間であり、就寝時は耳栓とアイマスクを着用した上で、自分で自分をふわふわタオルケットにグルグル巻きにするという「赤ん坊おくるみ中年スタイル」を取っている。 その上ですべての窓に遮光シートを張り、遮光カーテンを二重で使用して意図的に暗室を作り出すという、さながら渋谷マンション内違法植物栽培所状態だ。こうした「赤ん坊おくるみ違法植物ダメ絶対暗室創造的な方法」は匂いや味に対しても利用できる。〉(『世界は経営でできている』より) 〈普段から心労を感じている人はときには自分の心を閉ざすという疑似的な解決策に向かってしまうことがあるという。だが自分の感覚に気が付かないふりをするのは、幸せな感覚もろともシャットダウンする行為になりかねない。 仕事も組織も人生の目的にはなりえない。人間の幸せこそがそれらの目的なのだということを忘れてはいけないだろう。 だからこそ、心労を経営するという視点はますます重要になってきている。〉(『世界は経営でできている』より) つづく「老後の人生を「成功する人」と「失敗する人」の意外な違い」では、なぜ定年後の人生で「大きな差」が出てしまうのか、なぜ老後の人生を幸せに過ごすには「経営思考」が必要なのか、深く掘り下げる。
現代新書編集部