延長12回 代打大城サヨナラ打「二岡さんから行くよと伝えられていたのでいい準備できていた」
◆JERA セ・リーグ 巨人3x―2広島=延長12回=(13日・東京ドーム) 巨人が広島にサヨナラ勝ちし、阿部体制初の5連勝。貯金を今季最多の3とし、単独2位に浮上した。同点の延長12回1死二塁で大城卓三捕手(31)が満を持して代打で登場。右中間を破る劇打を放ち、主砲・岡本和真内野手(27)が二塁打でつくったチャンスを引き分け寸前でものにした。投げては2年ぶりに先発した右腕・堀田が4回を、2番手の左腕・井上も2回を無失点に封じるなど、若手が好投。勢いに乗って、14日の第3戦で今季初の同一カード3連勝を狙う。 【動画】延長12回、代打・大城が決めた!今季初サヨナラ勝ち 最後に出番が回ってきた選手会長が試合を決めた。代打・大城卓がバットを振り抜くと、打球は大歓声とともに右中間を真っ二つに破る。18年6月10日・西武戦(東京D)以来2度目のサヨナラ打で、阿部巨人初のサヨナラ勝ちだ。「つないでくれたので、何とかしようと思って打席に立っていました。無我夢中だったので、いい結果になって良かったです」。野手全員を使い切る、4時間11分の総力戦。ヒーローはヘルメットを脱ぎ笑顔で両手を上げると、仲間からスポーツドリンクを浴びる手荒い祝福が待っていた。 出番を待っていた。2―2の延長12回1死二塁。「二岡さんから行くよと伝えられていたので、ある程度いい準備はできていました」とカウント1―1から中崎の外角145キロ直球を仕留めた。「代打はその1打席、1球、そういう勝負だと思うので、本当に代打こそ先に仕掛けていかないといけない」と胸に刻み、集中力を高めてひと振りで決めた。 11日・ヤクルト戦(神宮)は小林、この日は岸田がスタメンマスク。「投手の球種の選択だったり、リード面だったり、そういう部分でもいろいろと見て学ぶことがある。ベンチから見て得られる部分もある。またいい経験にもなった」とベンチから戦況を見つめることも学びの時になった。 正捕手として134試合に出場した昨季は、常々語る「勝てる捕手」への思いもより一層増した。9月14日・阪神戦(甲子園)。眼前で優勝を決められ、相手の歓喜の場面を一番最後までベンチに残って目に焼き付けていたのが大城卓だった。「悔しくて。あとは、来年こそはという気持ちで見ていました。もう、見たくない」。その屈辱を胸に、戦い続けている。 今季から選手会長としてけん引する立場だが、チームの明るい雰囲気も好調の要因と見る。「ベンチで一番上の長野さんだったりが声を出している印象があります。それにつられて中堅、若手も声を出して、活気あるベンチになっているなと」。自身も開幕戦の円陣では「ジャイアンツ魂!」と珍しく大声で4連発。チームをもり立てようとする姿も、随所でのぞかせている。 これでチームは今季最長の5連勝。貯金も同最多の3とした。「いい場面でもっと打てるように頑張っていきたい。チームはいい状況ですので、明日も勝って、今週もいい形で終われるように頑張ります」。選手会長として、扇の要として、主力打者として、大城卓は何度でもチームを勝利へ導いていく。(田中 哲) ◆記録メモ 巨人は12回に代打・大城卓の右中間二塁打で今季初のサヨナラ勝利。大城卓のサヨナラ安打は、18年6月10日西武戦の9回のサヨナラ安打以来2度目。このときも代打起用に応えての一打だった。大城の代打は今季初だったが、通算では、119回起用され、109打数31安打の打率.284(4本塁打、21打点、四死球9、打席なし1)。過去3年は、21年が16打数6安打の打率.375(1打点)、22年が6―4の.667(1本塁打、3打点)、昨年が7―3、.429(2本塁打、6打点)と、代打でしぶとさを見せている。
報知新聞社