TOPIX採用企業の予想EPSは「好調な業績」が見込まれる ~先月のマーケットの振り返り&見通し【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフリサーチストラテジスト】
5.企業業績と株式
<現状> ●S&P500種指数の12月の予想1株当たり利益(EPS)は前年同月比+6.1%となり、4ヵ月連続で過去最高水準を更新しました。TOPIXの12月予想EPSは前年同月比+10.3%となり、7ヵ月連続で過去最高水準を更新しました。 ●米国株式市場は堅調を維持しました。FOMCはハト派の内容と市場で受け止められ、FRBが2024年前半にも利下げに転じるとの観測が強まったことから、長期金利が大幅に低下したことを受けて、2ヵ月連続で大きく上昇しました。 ●日本株式市場は、日銀が金融緩和策を維持したことから一時上昇しましたが、年末にかけての円高が相場の重荷となり、小幅安で引けました。 <見通し> ●S&P500種指数採用企業の増益率(純利益ベース)は、24年1-3月期が前年同期比+7.4%、4-6月期が同+11.4%と予想されています。TOPIX採用企業の予想EPSは、24年1-3月期が同+22.8%、4-6月期が同+19.6%と、好調な業績が見込まれています。 ●米国株式市場は、株価収益率(PER)の切り上がりによるバリュエーションの改善主導で上昇してきました。割安感はやや乏しいですが、底堅い企業業績が続くなか、地政学リスクの更なる悪化も限定的とみられるなど、投資環境の不透明感は和らいでおり、引き続き堅調な展開が予想されます。 ●日本株式市場は、海外景気、為替、商品市況といった外部要因によって変動性が高まる局面もありそうですが、製造業における景気循環の底打ちに伴うEPS成長が見込めるため、業績相場の色彩を強めると期待されます。ただし、金融緩和政策の修正については見極めが必要となりそうです。
6.為替
<現状> ●円の対米ドルレートは、FRBによる利下げ観測が強まり、米長期金利が大幅に低下したことを受けて、大きく上昇しました。日米金利差の縮小から円買い・ドル売りが優勢となり、前月末の147円台から月末は141円近辺に上昇しました。 ●円の対ユーロレートは、前月末の161円台から月末は155円台に上昇しました。ユーロは、金利先安観の強まった米ドルに対して上昇しました。 ●円の対豪ドルレートは、日豪金利差の縮小などから上昇しました。豪ドルは、金利先安観の強まった対米ドルに対して上昇しました。 <見通し> ●円の対米ドルレートは、米金利の低下に伴い緩やかに上昇すると想定します。当面はもみ合い推移が続くものの、先行きはFRBの利下げ開始と日銀の政策修正が意識され、日米金利差縮小が円の上昇要因となるとみています。 ●円の対ユーロレートも、当面レンジ内でもみ合うものの、先行きはECBによる利下げと日銀の政策修正が意識され、緩やかに上昇するとみています。 ●円の対豪ドルレートも、当面もみ合うものの、中国経済の減速や日銀の政策修正により緩やかに上昇する展開を予想しています。