TOPIX採用企業の予想EPSは「好調な業績」が見込まれる ~先月のマーケットの振り返り&見通し【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフリサーチストラテジスト】
3.金融政策
<現状> ●FRBは、12月のFOMCで、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標(5.25~5.50%)を3会合連続で据え置きました。また、2024年に0.25%の3回分に相当する利下げを実施する予想を示しました。パウエル議長は会見で、利下げに関する議論を始めたことを認めました。 ●ECBは12月の理事会で、2会合連続で政策金利の据え置きを決めました。資産購入策の特別枠(PEPP)については、24年上期までは償還があった分の再投資を続ける一方、下期からは削減し、24年末で再投資を打ち切る方針としました。 ●日銀は12月の金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策の現状維持を決めました。植田総裁は会見で、物価目標の実現に対し「確度は少しずつ高まっているが、賃金と物価の好循環をなお見極める必要がある」と述べました。 <見通し> ●FRBは、12月のFOMCでハト派的な姿勢を示したことから、すでに利上げサイクルを終了したとみられます。今後は、インフレの鈍化傾向に伴う実質金利上昇を回避するため、24年4-6月期に利下げを開始し、以降四半期ごとに0.25%の利下げを実施すると予想します。 ●ECBは、高止まりしているコアインフレを抑制するため、現状の政策金利(預金ファシリティ金利4.00%など)を24年1-3月期までは据え置くと予想しています。欧州景気が停滞していることから、ECBも24年4-6月期に利下げに転じ、以降四半期ごとに0.25%の利下げを行うとみています。 ●日銀は、24年3月の春闘回答集計を確認した上で、24年4月に、「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)を改定するとともに、マイナス金利の解除やイールドカーブ・コントロール(YCC)の解除・再修正を実施すると予想しています。
4.債券
<現状> ●米国の10年国債利回り(長期金利)は、FOMCの結果を受けて、FRBが24年に複数回の利下げに動くとの観測が強まったことから、大幅に低下しました。パウエル議長は会見で、利下げに関する議論を始めたことを認めたため、FRBが「ハト派」に転じたとの見方が広まりました。 ●ドイツの長期金利は、ECBが2会合連続で政策金利を据え置いたことや欧州景気の減速を受けて、先行きの利下げ観測から低下しました。 ●日本の長期金利は、日銀が早期に金融緩和政策の修正に動くとの見方が後退したことや、米長期金利が大幅に低下したことから、低下しました。 ●米国の投資適格社債については、株式市場の上昇を受けて国債と社債の利回り格差が縮小しました。 <見通し> ●米国の長期金利は、FRBが利下げに転じるとみられることから、緩やかに低下する展開を予想します。市場は利下げを一定程度織り込んでいるとみられるため、当面はもみ合うものの、景気減速とインフレの低下に伴い、徐々にレンジを切り下げていく展開を予想します。 ●欧州の長期金利も、ECBが利下げに転じるとみられるため、米長期金利に連れて緩やかに低下する展開を予想します。 ●日本の長期金利は、米長期金利が低下するなか、日銀によるマイナス金利政策の修正が意識されるため、一進一退の展開を予想します。