秀吉に翻弄された利休の生きざま描く 1月5~12日に京都劇場で前進座「雪間草」
戦国時代の茶人、千利休の生きざまを描く、劇団前進座の舞台「雪間草(ゆきまそう)―利休の娘お吟―」が1月5~12日、京都市下京区の京都劇場で上演される。利休の志を引き継ぐ娘のお吟を演じる浜名実貴は、「大切なのは茶道の作法や手順ではなく、利休の哲学や精神、おもてなしの心。それが根底に流れている作品です」と語る。 原作は海音寺潮五郎の「天正女合戦」。天下統一を目前にした豊臣秀吉に重用されながら、後に切腹を命じられた利休(林与一、特別出演)を軸に秀吉に見初められたお吟や、お吟を慕う利休の弟子の山下宗三(河原崎国太郎)、秀吉を取り巻く女性たちが繊細なドラマを織りなす。 秀吉は朝鮮出兵へと突き進み、利休との溝を深める。切腹を命じられた理由は諸説あるが、浜名は「秀吉の側近である前に、利休には利休なりの茶の湯の哲学があった。茶人としての矜持から取った行動が、数百年後も茶道が文化として花開くことにつながったのだと思います」と語る。 切腹して終わりではなく、茶の湯の未来を託され、希望となるのがお吟の存在だ。「お吟は利休の精神を受け継ぎ、茶の湯を広めていく。凜とした意志の強い女性として演じたいと思います」と話した。前進座関西事務所(06-6212-9600)。(田中佐和)