第93回選抜高校野球 市和歌山、公立対決制す 県岐阜商にサヨナラ勝ち /和歌山
<センバツ2021> 第93回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高野連主催)で23日、市和歌山が県岐阜商(岐阜)との初戦に臨み、1―0でサヨナラ勝ちした。1点を争う息詰まる投手戦となり、最終回のチャンスを見事にものにした。2回戦は第7日(26日予定)第3試合(午後2時20分開始予定)で明豊(大分)と対戦する。【橋本陵汰、長屋美乃里、大坪菜々美、面川美栄】 初戦は、市和歌山の半田真一監督(40)が予想した通り、緊迫した接戦となった。一塁側応援席に駆けつけた野球部OBや学校関係者ら約1000人は、固唾(かたず)をのんで試合を見守った。 市和歌山のエース・小園健太投手(3年)は立ち上がり、「初めての甲子園で緊張した」と先頭打者を四球で歩かせる。その後もボール球が先行し、走者を背負う苦しい場面が続いたが、要所で三振を奪って点を与えなかった。 三回は1死二、三塁のピンチ。応援席がメガホンをたたいて懸命に応援する中、まずは1人を三振。ここで捕手の松川虎生(こう)主将(同)がマウンドに歩み寄り、「お前の力を出し切れ。絶対大丈夫だから」と励ました。「甘く入らないように意識した」と振り返る小園投手は、続く打者からも三振を奪い、ピンチを切り抜けた。 一方、市和歌山の打線は走者を出すものの、なかなかつながらない。迎えた八回、2死満塁のチャンスで打席に主砲、松川主将が立ったが、右翼に打ち上げて点を奪えなかった。 好機を生かせずに迎えた九回、1死から平林直選手(同)が中前打で出塁。「八回にチャンスを生かせなかったので、しかけなければと思った」と半田監督が動く。平林選手がサインに応えて盗塁を成功させて二塁へ。続く吉見和航(わたる)選手(同)が四球で一、二塁となったところで、7番亀井新生(ねお)選手(同)が打席に立った。「自分で決めてやろうという気持ちで打席に入った」と亀井選手。中前にはじき返すと二走の平林選手は一気に本塁を狙い、頭から突っ込んでサヨナラを決めた。 アルプススタンドで太鼓をたたいて応援していた青木瑛汰選手(2年)は、ばちを持っていた右手を上げてガッツポーズ。バトン部の部員はポンポンを持った手でハイタッチして喜びを分かち合った。 亀井選手の父克博さん(49)は「3打席凡退していたので思いっきり打ってほしいと思っていた。夢か現実か分からないくらいうれしい」と喜んだ。2年前のセンバツに出場したOBの片上柊也さん(19)も応援に駆けつけた。片上さんは「みんな勝負強い。頂上まで行ってほしい」と話した。 ……………………………………………………………………………………………………… ■熱球 ◇「絶対に先制させない」 小園健太投手(3年) 最終回、サヨナラの走者の平林直選手(3年)を本塁で出迎え、抱き合って喜んだ。「1点を争うゲームでしんどかったが、勝つことができてうれしい」 「球が上ずってしまった」と走者を背負う苦しい投球になった。三回は1死二、三塁のピンチ。「ギアを上げて三振を狙った」と2者連続三振で切り抜けた。五回以降は変化球でカウントを取りにいくスタイルに変え、「自分本来のピッチングができた」と振り返る。 「絶対にこちらが点を取るまで相手に点をやらないという気持ちで投げた」。九回を一人で投げ抜き、完封した。「勝ちきれたのはすごく自信になる。次はしっかりとストライク先行で打たせて取るピッチングをしたい」【橋本陵汰、大坪菜々美】 ……………………………………………………………………………………………………… 県岐阜商 000000000=0 000000001=1 市和歌山