衆院選4選挙区でわずか1勝…繰り返す「政治とカネ」問題、保守王国鹿児島の有権者もついにそっぽ
自民党は1955年の結党以来、鹿児島県内で最も少ない選挙区議席1に沈んだ。議席に占める割合も最低の25%。派閥裏金事件で処分された候補はいなかったものの、自民が繰り返す「政治とカネ」問題に有権者がそっぽを向いた。下野した時でさえ強固だった保守王国が揺らいでいる。 〈衆院選〉現役の農相も敗れる…鹿児島3区の小里氏「私の力不足」 今後の政治活動は明言せず
自民は全4選挙区に前職を擁立し、前回敗れた2、3区で議席奪還を狙った。裏金事件の逆風は「一時期より弱まった」との声が出ていたが、事件を受けて非公認となった候補が代表を務める政党支部への2000万円支給が発覚。最終盤の「取り返しのつかない時期」(自民陣営の一人)で、大勢を決する潮目となった。 無党派層が多い1区の影響は顕著だった。野党側にとっては格好の攻撃材料となり、政権批判が無党派層などに響いたとみられる。伯仲した戦いは立憲民主前職に軍配が上がった。 2、3区は自民前職が対立候補に終始リードされたまま敗れた。保守分裂や、候補者本人の政治姿勢への批判が浮き彫りとなり、裏金事件や2000万円問題がとどめを刺した形となった。とりわけ3区の自民前職・小里泰弘氏が現役農相にもかかわらず敗北したインパクトは大きい。 自民が唯一勝った4区は党幹事長・森山裕氏の盤石ぶりが際立った。ただ、投票率は伸び悩み、「自民支持者も投票に行かないのでは」という陣営の懸念が現実となった可能性がある。今後、2000万円問題が党内外から追及されるのは確実だ。
自民単独で過半数割れという有権者の下した判断に、当選者たちはどう向き合うのか。与野党問わず政治への信頼回復に向けた取り組みが、宿題として残された。
南日本新聞 | 鹿児島