苦労して70歳まで働くと「厚生年金」は増やせる?繰下げ受給にはデメリットや注意点も
近年は60歳以降も働ける環境が整いつつあり、定年退職後も働く人が増えています。2024年10月には社会保険適用拡大が控え、フルタイムでなくとも厚生年金に加入できる条件が緩和されます。 ◆【一覧表】繰下げ受給を選択している人はごくわずか 定年後も働きたいと思うかどうかは人それぞれですが、中には「年金の受給額を増やすために長く働く」という人もいると思います。 では、長く働けば本当に年金額は増えるのでしょうか。 結論から申し上げれば、70歳まで働けば受け取れる年金額が増加します。しかし、注意点もあります。 今回は厚生年金の仕組みについておさらいし、年金額が増える理由について見ていきましょう。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
そもそも厚生年金とは?
まず、厚生年金の基本的な仕組みを押さえておきましょう。 厚生年金は会社員や公務員などが加入する公的年金制度のことで、国民年金(基礎年金)に上乗せされる形で給付されます。 日本に住む20歳から60歳未満までの全ての人が加入対象となる国民年金とは異なり、厚生年金保険の適用を受けている企業に勤める70歳未満の方が対象となります。 保険料は勤務先と従業員がそれぞれ半分ずつ負担し、年金支給額は納付期間と収入に基づいて計算されます。
70歳まで働くと年金は増える?
年金支給額は納付期間と収入に基づいて計算されるので、70歳まで働くことができれば年金額が増加します。 加えて、年金の受給開始年齢を70歳まで繰り下げることで、受け取れる年金額をさらに増やすことが可能です。 年金は原則として65歳から受け取ることができますが、受給開始年齢は66歳以降75歳までの間で繰り下げることができ、1ヶ月繰り下げるごとに給付額が0.7%ずつ増額されます。 したがって、受給開始年齢を70歳まで繰り下げた場合の増額率は42%となり、65歳で受給開始するケースに比べて年金額は大きく増加します。 あくまでも一例ですが、65歳の時点での受給額が約20万円だった場合、70歳まで繰り下げてから受給すれば、約28万4000円に増額されることになります。 一見するとメリットが大きい繰下げ受給ですが、実際に選択している人はどのくらいいるのでしょうか。