俺は一体どうすれば…〈メタボ体質〉50歳男性、「年金繰上げ受給」決めるも「繰下げ」にも後ろ髪…それぞれのメリット・デメリットは?【社労士の助言】
独身のAさん(58歳)はメタボ体質で、50歳を過ぎると健康診断にいつも引っかかるようになりました。自身の生活習慣からして長生きできないだろうと思い、年金は60歳で受け取ることを考えます。しかし、想定以上に長生きした場合、年金だけで医療費・介護費を賄えるか不安が残ります。そこで本記事では年金の「繰上げ・繰下げ受給」それぞれのメリット・デメリットについて、角村FP社労士事務所の特定社会保険労務士・角村俊一氏が解説します。 【早見表】年金に頼らず「1人で120歳まで生きる」ための貯蓄額
繰上げる? 繰下げる? 年金いつからもらうか問題
メタボ体質のAさん(58歳)は、50歳を過ぎたころから会社の健康診断でいつも引っかかります。 ここ数年は血圧や尿酸値、コレステロール値がとても高く定期的に通院はしていますが、医者から処方された薬は面倒で指示通りに飲めていません。独身のため外食が多く、お酒も大好き。がんの家系ということもあり、あまり長生きできないのではないかと思っています。 先日、会社で受講した「定年後の生活設計を考えるリタイアメントセミナー」で年金の繰上げ・繰下げ受給の話を聞き、どうせ長生きできないだろうから60歳になったらすぐに年金をもらおうと考え始めました。 一方で、思った以上に長生きしてしまった場合、医療費や介護費が心配でなりません。少しでも年金の受給を遅らせて、その額を増やそうかとも考えます。 「いったい俺はどうすればよいのだろうか……」とAさんは頭を抱えてしまいました。
増える年金、減る年金
年金の繰上げ・繰下げ受給のメリットとデメリットとして真っ先に挙げられるのが、年金の増額と減額です。 年金を増やす方法として知られるのが受給開始年齢の繰下げ。本来の受給開始年齢である65歳で受給せず、66歳以降に受給を繰下げた場合、年金は1ヵ月あたり0.7%増額されます。これが繰下げ受給のメリットの1つです。 受給開始を75歳まで繰り下げると増額率は84%です。たとえば、年金額が月15万円(年180万円)の方が75歳まで繰り下げた場合、受給できる年金額は月27.6万円(年331.2万円)まで増額されます。 一方、本来の受給開始年齢である65歳を待たずに前倒しで年金を受給した場合は年金が減額されます。これが繰り上げ受給のデメリットの1つです。減額率は1ヵ月あたり0.4%(昭和37年4月1日以前生まれの方は減額率0.5%)なので、60歳から受給すれば年金額は24%減になります。 たとえば、年金額が月15万円(年180万円)の方が60歳から受給した場合、受給できる年金額は月11.4万円(年136.8万円)まで減額されます。