半年間『車中泊』続ける71歳 仮設住宅の当選はまだ 「夏は暑さと蚊が一番大変」戻らぬ日常 能登半島地震から半年
今年の元日に発生した能登半島地震。 多くの人の命や生活が奪われたあの日から、半年がたった。 ことし1月、石川県輪島市の鳳至公民館を取材したときは、トイレは断水で使えず、ポリ袋で用を足すという劣悪といえる環境の中、最大で300人が身を寄せ合って過ごしていた。 半年たった今、避難者は16人まで減ったという。 鳳至公民館・七浦正一館長: 今、所帯主が12人で(避難者は)計16人、これは6月30日の段階でだいぶ減りました かなり減りはしたものの、未だにここで避難生活を続けている人がいる。 避難している男性: 俺は仮設の申し込みしてない Q.してないんですか? 避難している男性: いや、私は申し込みしても当たらない。家がつぶれとらんからね。今、仮設入れるのは半壊した人しかダメ 建設が進められている仮設住宅に入居できるのは、原則、自宅が全壊、または半壊した人に限られている。 こちらの男性の家は、被害が軽微だったものの、家が崩れた親族の荷物などを自宅に運び込んだ結果、生活できるスペースがなくなってしまった。 そのため避難所での生活を選んでいるという。 避難している男性: だいたい、家を直して出てったとか、あるいは、仮設が当たって出たとかで出て行ってしまった。だから精神的に少し焦りはあるだろうね。みんな当たったから
■避難所では些細なことがトラブルにつながる
館長として避難所の運営を続けてきた七浦さんは、ここで生活する人が、長引く避難生活にストレスを感じている様子を目の当たりにしてきた。 鳳至公民館 七浦正一館長: ささいなことで、スリッパの音がやかましいとか、電気はなぜ9時に消すんだとか、色々もめて、私のところに相談に来ましたので。いろんなことを、何とか収めてきましたよ。本当に大変でした 厳しい生活を続けているのは、避難所にいる人だけではない。
■半年間 車中泊を続ける71歳
輪島市内を取材していると半年間、車中泊を続けているという菊谷正巳さん(71)に出会った。 自宅は1階がつぶれ、全壊状態に。 今は、自宅近くの車庫で寝泊りしながら、新聞配達の仕事をしている。 Q.助手席の椅子を倒しているんですか? 菊谷正巳さん(71): (助手席を)倒してここで寝られますから Q.ここで夜こうして寝てらっしゃる? ええ、そうですそうです Q.半年間ずっとですか?地震が起きてから はい Q.ずっと半年間、車中泊をなぜしていらっしゃるんでしょうか? 菊谷正巳さん: 朝と昼と、反対ですから。午前1時半に起きないといかんでしょう。皆さん寝ているときに、私起きて、目覚ましかけて、皆さんに迷惑かけますし 生活のリズムが人と違うため、避難所で暮らすことを「遠慮」してしまったという菊谷さん。 仮設住宅に住めるよう申請はしたものの、まだ当選の連絡は来ない。 Q.仮設住宅には住みたい? 菊谷正巳さん: そりゃもちろん。そのためにこうしておるもんですから。夏は暑さと蚊が一番大変だなという気持ちでいます