大谷翔平も参考にした一冊でメンタル“爆上げ” ホステスプロ・河本結が「恩返し」となる大会初Vに挑む
<JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ 事前情報◇19日◇宮崎カントリークラブ◇6497ヤード・パー72> 河本結が携帯の待ち受けにしている“心得”【写真】 「やるべきことをやる試合が来た」。今大会の特別協賛となっている株式会社リコーに所属する河本結が2019年大会以来4年ぶりに宮崎の“エリート舞台”に戻ってきた。 今年8月の「NEC軽井沢72ゴルフ」で5年ぶりに涙のツアー2勝目を飾った。それまではメルセデス・ランキングで20-21年シーズンに53位、22年は52位と、同50~55位以内の選手に与えられる前半戦出場資格の“準シード”獲得が続いた。23年は同85位で終え、QTでは第1次予選会から出場。ファイナルQTまでコマを進め、今年はQT4位の資格で試合に出場していた。 「本当に辛いときにサポートしていただいていたので、恩返しするにはここで勝つしかないと思っています。自分のゴルフの状態的にも、優勝が見える状態ではあると思うので、気持ちを入れて最後の一戦、戦いたい」。悔しい期間を乗り越え、手にした念願のフィールド。強い眼差しで“恩返し”となる優勝への意欲を見せた。 今年はメンタルコーチとともに、試行錯誤を続けている。先週の「大王製紙エリエールレディス」では、初日に「65」をマークして首位発進。愛媛県出身で地元大会ということもあり、「いつもより気持ちが入るじゃないですか、こう“勝ちたい”とか」と意気込むも、2日目はイーブンパーの「71」とスコアを伸ばせず降順。「もうそこでトップ10に私は入るでしょ」と気持ちを切り替えて決勝ラウンドに臨むと、結果トータル13アンダー・10位タイで終えることができた。 このメンタル面の収穫が大きかった。「何がメンタル的に良くなかったかっていうのも、メンタルの先生と話し合うことができて」。“勝ちたい”という気持ちだと「うまくパフォーマンスができない」ことを発見。こうなりたい、どうなりたいの気持ちだと「自信がもてていない」と気弱に感じ、それなりの結果になってしまうと分析した。 河本はメンタルコントロールの本をよく読んでいる。「私が大事にしている言葉は“現状の外”。現実だったら勝ちたいって思わなきゃいけない選手だけど、普通にやれば勝てるぐらいのメンタルでいないといけない。余裕というか、“私は余裕で勝てる選手”でしょ。勝って当たり前でしょ、ぐらいのテンション」。これが今週の河本のマインドだ。 そのきっかけをくれたのはメジャーリーガーでドジャース所属の大谷翔平も読んだという中村天風氏の「運命を拓く」という一冊。「18歳のときに大谷さんは読んだと言っていたのですけど、高校生のときに読んでいたらそりゃそうなるよなって。夢が90%は叶うよねって」。世界で活躍するビッグネームも参考にした言葉の中から一部撮影して、自身のスマートフォンの待ち受けにもしている。 『腹が据わっている人のおまじない 「一生やり続ける」すごくシンプルですが、これほど多く語る言葉もありません。みだらな誘惑、未知の物事に対する恐怖、手軽な安心感、どれも乗り越えることができるのは、「一生やり続ける」この言葉が背骨に叩き込まれている人だけです。』(河本が待ち受けにしてモチベーションを高めている言葉、中村天風氏・「運命を拓く」より) 心の準備は整っている。「今週に対する気持ちの持っていき方、コントロールの仕方など直前ですごくためになった1試合でもあった。そういうのも含めて、準備は明日次第ですけど、着々とできている」。あとはショット、パッティングなどの調整を行い、大会に挑んでいく。 会場は赤と白で溢れており、シーズン締めくくりを感じさせる緊張感が漂う。「なんか燃えます。やっぱり限られた人しか出られないし。私は最後勝ちたいと思うので」と今季ツアー優勝者や、メルセデス・ランキング(以下MR)上位者ら40人のみが出られる大会に、これまでとは違う新しい気持ちで立つ。「あとは自分を信じてやりきるだけ」と意気込んだ。 最後は、「この本、本当におすすめです。読んでみてください」とひとこと。アスリートだけではなく、何か目標をもったひとのモチベーションを上げてくれる言葉がつまった一冊はとても興味深い。(文・高木彩音)