小野田龍之介「愛とときめきとドキドキを感じる」 ミュージカル『ピーター・パン』が今年も開幕へ
今年で44年目を迎える、青山メインランドファンタジースペシャル ブロードウェイミュージカル『ピーター・パン』。今年も7月24日(水) から8月2日(金) まで、東京国際フォーラム ホールCで上演される。 【全ての写真】ブロードウェイミュージカル『ピーター・パン』2023年公演より 昨年に引き続きフック船長役を演じる小野田龍之介に、本作に懸ける想いや11代目ピーター・パンを演じる山﨑玲奈の印象、『ピーター・パン』の楽曲の魅力などを聞いた。 ――フック船長として迎える2回目の夏ですね。改めて意気込みからお願いします。 昨年は出演者として、初めて『ピーター・パン』の世界を体験しました。今まで散々ディズニーアニメで見たり、もちろんミュージカルで観たりしてきたんですけど、この『ピーター・パン』がこんなにも愛されているんだということを痛感した夏でしたね。 ほぼ毎日満席で、大人から子どもまで客層も幅広くて、正直、びっくりしました。僕自身『ピーター・パン』からはしばらく離れていたので、今でも想像以上の人気があるんだなと。 特に日本のお客様は悲劇が好きだし、長く続いている作品は、たいてい革命か不倫の話じゃないですか(笑)。でもこの『ピーター・パン』は革命も不倫もないのに、長きにわたって愛されて、ワクワクしてもらえる!こんな作品は他にないなと思います。愛とときめきとドキドキを感じる夏でした。 ――その愛やときめきは本番初日から感じられましたか? 感じましたよ。度肝を抜かれました。僕は激疲れでしたけど(笑)。 ……『ピーター・パン』は今年で44年目。それぐらい長くやっていたとしても、去年は演出家も変わり、主役も去年デビューしているので、 “新作”を作っているのとほぼ同じだったんですよ。ドラマの流れや曲は知っているけど、セリフも変われば、曲の編成も変わってましたから。稽古場も毎日チェンジの連続で、「ここまでやるか、長谷川寧!」と思いながら過ごしていました(笑)。 それにね、『ピーター・パン』の開演時間は午前11時半と午後4時半という特殊なスケジュールなんです。 僕はそもそも早起きなんですが、起こされるのは嫌。自分で勝手に朝6時ぐらいに起きているだけなので、5時、6時に起きて本番に向けてスタンバイしなくてはいけないというのがね。。 ――確かに他の公演は13時頃開演の演目が多いですからね。 俳優にとっては12時公演と13時公演でも全然違いますから。そんな感じで、いろいろな調整をしながら、気づいたら開幕していた『ピーター・パン』。開幕した瞬間に、客席からの「今年も待ってました感」と「今年の『ピーター・パン』はどんな感じなのかなと前のめりになる感」を感じましたね。 オーケストラピットがあるわけでもないので、ダイレクトにお客様と通じ合うことができて。こんなに盛り上がってくれるんだ、その一員に自分もなれているんだと嬉しかったことを覚えています。 ――昨年に引き続き、ピーター・パン役は山﨑玲奈さん。本作以前にも『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』で共演されていますが、あまりお芝居での絡みはありませんでしたよね。 そうですね。名前を呼ばれた記憶はあるけど、ほぼ絡みはなかったです。 ――小野田さんから見て、山﨑さんのピーター・パンはどう映っていますか。 頑張っていると思いますよ。僕と彼女の共通点として、子役のときから仕事をしているということが挙げられるんですが、僕のときと彼女のときでは子役業界も全然違う。だから彼女を見ていると、令和を見ている感じがする。 表現の仕方をとっても、ある種自分というものをぶらさないタイプなんだなと感じる部分もありながら、当然ですけど、まだ完成されている役者というわけではないから、揺れ動く部分もあって。それは見ていて面白いなと思いますね。 ――ちなみに山﨑さんは「フック船長に負けそうになったので、今年は頑張りたいです」と仰っていました。 今年の方が勝っちゃうかもしれない(笑)。なぜかというと、パイレーツシート(※フック船長率いるパイレーツの仲間になってパイレーツを応援する席。もれなく「パイレーツ応援フラッグ」がプレゼントされる)という席が誕生したので……! 去年の公演は、彼女のお披露目だったと思うんですね。そのお披露目から1年、彼女も仕事のキャリアとしても自分の人生としてもいろいろあったと思いますが、大人になってはいけないピーター・パンとして、俳優としての色気や垢を消して、いかにダイナミックに情熱的に役を演じることができるか。それが今年の『ピーター・パン』の成功の鍵を握っていると思います。 恐らく去年は彼女がどうやってもお客様は喜んでくれたと思うんですよ。なんといってもお披露目ですから。でも今年はそうはいかないでしょう。だから彼女に火をつけれるように、我々大人たちは物語を動かしていきたいとも思いますし、いい化学反応が生まれればいいなと思います。