小野田龍之介「愛とときめきとドキドキを感じる」 ミュージカル『ピーター・パン』が今年も開幕へ
――前回の稽古場を振り返って思うことは? いや、彼女も頑張っていたと思いますよ。でももちろん苦手な部分があって、「じゃあ今回はこうしましょう」などと色々ディスカッションしながらやっていたので、今年は去年できなかったことができるようになっているといいですよね。 ……歴代のフック船長を演じてきた先輩方と話したことがあるんですが、役を続投すると、ひとりの役者の成長物語を見られて面白いと。ピーター・パン役を演じる役者は、基本的に10代だし、未完成な役者であることが前提ですよね。観客も、決して完成されているものが見たいわけではなくて、未完成な役者がいかにもがいて、格好をつけず、ある種の無鉄砲さを見せてくれるかを楽しみにしているわけです。 そんな中でも成長していく姿を間近で見られるのは、我々続投している大人キャストの特権。だから僕もせっかく続投できたので、山﨑玲奈という俳優の成長物語を楽しみにしてます。 あとは……今回の稽古場では何を食べるのかが気になる(笑)。彼女は稽古の合間にずっとトマトを食べていたんですよ。自席に戻るとすぐにトマト、トマト、トマト。今年は何を食べるのかが興味深いです(笑)。 ――作品の楽曲についての魅力を教えてください。 どの曲もワクワクしますよね。子どもが聞くと純粋にワクワクできると思うし、 大人が聞くと子どもの頃にワクワクしたことを思い出したり、大人だからこそ染みる瞬間がメロディーにあったりするから不思議だなぁと思います。 フック船長は「フックのワルツ」とか「フックのタンゴ」とか、曲のジャンルがタイトルになっているので、非常に楽しいです。 それに日本版は宮川彬良さんのアレンジでやっていますから。楽曲自体はブロードウェイ版とほぼ変わらないのですが、宮川さんが持っているファンタジー的な要素と言いますか、日本国民に愛される音の作り方が効いていて、同じ曲のはずなのに“染み方”が違うんですよね。 宮川さんは日本のオリジナルミュージカルの作曲もされていますし、僕も彼のミュージカルで主演をやったことがあって、彼に対する尊敬と信頼がある。宮川さんが作った楽曲ではないけれども、宮川さんが音楽監督をされている日本版の『ピーター・パン』は、僕は非常に心強いと思いますね。 ――最後に、この夏の『ピーター・パン』ではどんな小野田さんを見せてくださるのか。ファンの皆様に一言お願いします! 衣裳も赤いですし、血のたぎったように舞台上で暴れ回れる小野田が見られるんじゃないでしょうか。 去年、「水を得た魚のように舞台上で生き生きしてるね」と言われたんですよ。裏ではヒーヒー言いながらやっていたんですが、それはとても俳優としては嬉しいこと。今年はより一層、「この俳優は本当に舞台が好きなんだな」と思ってもらえるよう、舞台上で躍動感あふれる姿をお届けします。今年も『ピーター・パン』、頑張ります! 取材・文:五月女菜穂 <公演情報> 青山メインランドファンタジースペシャル ブロードウェイミュージカル『ピーター・パン』 公演期間:2024年7月24日(水)~8月2日(金) 会場:東京国際フォーラム ホールC