マイナ保険証と資格確認書を5つの視点で比較した時の結論は「2枚持ち」
2024年12月2日に健康保険証は廃止になり、マイナ保険証(健康保険証として利用するための登録を済ませたマイナンバーカード)に原則一本化されます。 健康保険証は廃止日以降に返却する物と、返却しない物に分かれる理由 ただ廃止日から最長1年の経過措置期間が終わるまでは、健康保険証を使っても良いのです。 経過措置期間が終わると健康保険証は使えなくなりますが、マイナンバーカードを取得していない方などには、健康保険証の代わりとして使える資格確認書が交付されます。 マイナ保険証と資格確認書を5つの視点で比較してみたら、マイナンバーカードだけでなく資格確認書も取得して、後者を使用するスタイルの2枚持ちが良いと思いました。 このような結論になった理由と、2枚持ちを実現するための方法は次のようになります。 視点1:発行団体 マイナ保険証の元になるマイナンバーカードは、J-LIS(地方公共団体情報システム機構)が発行し、市区町村を通じて申請者に交付されます。 また後述するマイナンバーカードと電子証明書の有効期限を、期限の約3か月前に通知する書類はJ-LISから送付されるため、この団体の名称を覚えておいた方が良いのです。 一方で資格確認書は次のような保険者(公的医療保険の運営に必要な保険料を加入者から徴収したり、加入者などに保険給付を支給したりする団体)が発行します。 【健康保険の保険者】 主に中小企業の会社員と、その方に扶養されている親族が加入する協会けんぽの保険者は、各都道府県に支部がある全国健康保険協会です。 また主に大企業の会社員と、その方に扶養されている親族が加入する組合健保の保険者は、企業などが設立した健康保険組合(2023年3月末時点で1,383組合)です。 【国民健康保険の保険者】 自営業者やフリーランスなどが加入する国民健康保険の保険者は、全国各地の自治体(市区町村と都道府県)と、国民健康保険組合(2024年4月末時点で158組合)です。 【後期高齢者医療の保険者】 原則75歳以上の方が加入する後期高齢者医療の保険者は、各都道府県の広域連合になりますが、届出や申請の受付、保険証の引き渡し、保険料の徴収などは市区町村が実施します。 このように資格確認書はマイナンバーカードと違って、いくつもの団体が発行し、各団体が決めたスケジュールで加入者などに交付します。 そのため資格確認書が届かない方などは、自分が加入する公的医療保険の保険者や、勤務先の社会保険事務の担当者に相談してみるのです。 視点2:交付を受けるための手続き マイナンバーカードは市区町村役場、郵送、スマホやパソコン、街中にある証明写真機などで、所定の申請を行った方に交付されます。 資格確認書も当初は申請が必要という話だったのですが、次のような方には申請しなくても交付されるようです。 ・ マイナンバーカードを取得するための申請を行っていない方、または取得した後に返納した方 ・ マイナンバーカードを持っていても、健康保険証として利用するための登録を行っていない方 ・ 電子証明書の更新を忘れた方 一方で例えばマイナンバーカードを紛失し、再交付されるのを待っている間に資格確認書を使いたい方は、保険者に申請しないと交付されないようです。 視点3:使い方 資格確認書を使って受付する時は、健康保険証と同じように医療機関の窓口に提示すれば良いのです。 一方でマイナ保険証を使って受付する時は、顔認証付きカードリーダーにマイナ保険証をセットした後に、次のいずれかを実施します。 ・ マイナンバーカードのIC チップに搭載された、利用者証明用電子証明書の暗証番号(4桁の数字)を入力する ・ 顔認証付きカードリーダーに顔を近づけ、そのカメラで顔写真を撮影する このようにマイナ保険証を使った受付は、健康保険証と大きな違いがあるだけでなく、医療機関を利用するたびに、いずれかを実施する必要があるのです。 健康保険証であれば月1回くらいのペースで、医療機関の窓口に提示すれば良かったので、マイナ保険証は健康保険証よりも使用頻度が高いのです。 視点4:記載事項 平将明デジタル大臣は健康保険証について、顔写真やICチップが付いていないため、不正を行おうという悪い考えを持った人達から見ると、付け入る隙のある制度と評価しています。 資格確認書も顔写真やICチップは付いておらず、健康保険証と同じような資格情報(保険者名称、記号・番号など)が表面に記載されているだけです。 一方でマイナ保険証には顔写真やICチップは付いていますが、保険給付を申請する保険者の名称や、申請書類に記入する記号・番号などは記載されていません。 こういった弱点を補う必要があるため、原則としてマイナ保険者が使える方に、資格情報が記載された「資格情報のお知らせ」が送付されます。 またマイナンバーカードを使って、スマホやパソコンからマイナポータルにログインすると、各人の資格情報を確認できます。 視点5:有効期限 交付されたマイナンバーカードには、「発行日から10回目の誕生日(18歳未満は5回目の誕生日)まで」という有効期限があります。 またICチップに搭載された電子証明書(利用者証明用電子証明書、署名用電子証明書)には、「発行日から5回目の誕生日まで」という有効期限があります。 マイナ保険証を使った受付では、前者の利用者証明用電子証明書を活用するため、電子証明書の更新手続きを忘れると、マイナ保険証を使用できなくなるのです。 一方で資格確認書の有効期限は5年以内の範囲内で、各保険者が設定するため、資格確認書が届いたら表面を見て、有効期限を確認した方が良いと思います。 また有効期限を迎えた後に再び資格確認書を使うためには、初回と違って申請が必要になるかもしれないので、申請の有無も確認しておいた方が良いと思います。 2枚持ちが良い理由と実現方法 マイナ保険証は上記のように健康保険証と使い方が違うだけでなく、健康保険証よりも使用頻度が高いため、移行期に様々なトラブルが起きるのは避けられないのです。 一方で資格確認書と健康保険証は大きな違いがないため、資格確認書はマイナ保険証よりトラブルが起きにくいと推測します。 そのためトラブルが減って落ち着くまでは、マイナンバーカードだけでなく資格確認書も取得して、後者を使用するスタイルの2枚持ちが良いと考えています。 2枚持ちを実現する方法としては、保険者に対して利用登録の解除申請を行って、マイナンバーカードを健康保険証として利用するための登録を解除するのです。 2024年10月28日から解除申請書の受付が始まっていますが、この日までに準備が間に合わないため、受付が遅れる保険者もあるようです。 この方法の良いところはマイナンバーカードを返納しないため、資格確認書よりもマイナ保険証の方が良いと思ったら、すぐに変えられる点です。 また今後はスマホを契約する際などに、マイナンバーカードのICチップを使った本人確認が重視されるようになるため、返納すると不便になると思います。
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