イッセー尾形の一人語りが沁みる…教室での世代間の衝突がもたらすものとは? NHKドラマ『宙わたる教室』第4話考察
窪田正孝主演のNHKドラマ『宙わたる教室』が放送中。実話に着想を得て生まれた小説を実写化した本作は、さまざまな事情を抱えた生徒たちが集まる定時制高校に、謎めいた理科教師の藤竹が赴任してくる。今回は、第4話のレビューをお届け。(文・あまのさき)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】窪田正孝ら実力派俳優の貴重な未公開写真はこちら。ドラマ『宙わたる教室』劇中カット一覧
世代間の衝突がもたらしたもの
「天体の衝突は時に様々な生物の絶滅の原因になる。しかし同時に、新しい別の何かのはじまりでもある」。 そんな藤竹(窪田正孝)のナレーションではじまった『宙わたる教室』第4話は、イッセー尾形がつくり出す長嶺という男の哀愁とともに、多くの人の心に沁みる内容となった。 いつも最前列中央の席に座り授業を聞く長嶺は、その熱心さから教師を質問攻めにし授業の進行を妨げてしまうことがあった。岳人(小林虎之介)は授業を聞いているのは長嶺だけではないと質問を繰り返すことをやめるように言う。 この正論を受けて納得するかと思いきや、長嶺が寝ていたりタブレットをいじっていたり、学ぼうとしていない生徒ばかりではないかと反論したことで怒りを買い、クラスのほとんどが授業をボイコットする事態に。
自分が放った言葉の心なさに気づくこと
宮城県で生まれた長嶺は、父親亡き後の家計を支えるため、高校に進学することなく集団就職で東京へやって来た。同じような境遇の人もいるが、周囲には勉強が嫌いだと言いながらも高校への進学が叶う人もいた。 その悔しさをバネにがむしゃらに働き、自分の工場を持つまでになった。そんな長嶺にとって、学べる環境があるのに学ぼうとしないように見える今の若者たちは「甘えている」「もったいない」と感じるのだ。 アンジェラ(ガウ)の「苦しさは比べられるものじゃない」という言葉の通り、若い頃の長嶺と比べたら恵まれているように見える岳人をはじめとする若者たちも、それぞれなりに問題を抱えている。 例えば岳人はディスレクシアを抱えているが、そこのことを長嶺は知らない。だが、たまたま街中で見かけた岳人が読み書き障害に関するトレーニングに通っていること、そしてその障害がタブレットを使うことで緩和されることを知り、自分が放った言葉の心なさに気付かされるのだった。