気が付くと「3人が血を流して倒れていた…」解離性同一性症の元警察官 殺人事件当時の記憶は断片的#2
浜松市の自宅で祖父母と長兄をハンマーで殴るなどして殺害した罪に問われている元警察官の男の裁判員裁判が10月末から続いている。元警察官はPTSDや解離性同一性症に悩まされていて、事件当時の記憶も途切れ途切れだと話す。 【画像】裁判で”壮絶”な生い立ちだったことが明かされた元警察官の男
激しいPTSDと解離性同一性症
被告がPTSDや解離性同一性症に悩まされるようになったのは警察学校に入校してからのこと。 授業で虐待に関する犯罪が取り上げられると、幼少期に受けた虐待の記憶がよみがえり頭痛が続いた。 頭痛や吐き気、不眠といった症状は下田警察署に配属されて以降も解消されることはなく、上司からは「ボーっとしている」「結構怒るね」などと言われたが、いずれの記憶もない。 体調が上向くことはなく、このため配属から1年が経つ前の2019年6月に警察官を辞めた。 その後、実家に戻るとさらに激しいフラッシュバックに襲われるようになり、この時から“亮くん”と”ボウイ”という自身に潜む2つの別の人格を認識。 “亮くん”は次兄が小学生だった頃の姿をしていて、被告が幼少期に虐待を受けた時の記憶を肩代わりしてくれた。 一方、“ボウイ”は30代~40代の頃の父親にそっくりな容姿をしていて、被告に対して祖父母・父・長兄のことを「人の皮をかぶった悪魔」「自分の痛みを知らないからあいつらには遠慮がない。今度は俺が痛みを教えてやる」と話していたという。 被告には”ボウイ”が本来の人格とは別のところで体を自由に動かすことができ、何をするのかわからない怖さがあったため、昼夜逆転の生活を送ることで家族との接触を極力避けたが、記憶がないにも関わらず自室がめちゃくちゃになっていたり、気が付くと別の場所にいたり、用意した覚えのないハンマーや酒が車のトランクに積まれていたりすることがあったそうだ。
“過去の清算”のため家族会議を計画
警察を退職してから2年あまりが経った頃、今回の事件の遠因とも言える出来事があった。 それはかつての同僚と会って話をした時のこと。 志の高さに圧倒され、自らも頑張る気力を得たが、現実には精神的にも体調的にも仕事を始めるのは難しい状況で、解決させるためには“過去の清算”が必要だと考えた。 そのためには、自身が味わった苦痛を父や長兄に認識させた上で、警察などによる然るべき処分を受けさせるのが最適だと思い至り、家族会議の開催を発案。
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