クオンツのクローン商品、利便性に複製元ヘッジファンドも抵抗できず
このツールは当初、年金基金など機関投資家を対象としていたが、銀行によればあらゆる種類のヘッジファンドが今では利用している。UBSインベストメント・バンクでQISストラクチャリングのグローバル責任者を務めるジュリオ・アルフィニート氏は、一部の銀行では想定QIS資産に占めるヘッジファンドの割合が1桁台後半、もしくは2桁に達していると推定する。数年前はゼロだったという。
それでもヘッジッファンドがQIS採用をためらう理由はいくらでもある。QISを販売する銀行は資産運用会社ではないため、顧客に対する受託者責任がない。取引の執行は全て事前に決められたルールブックに基づくため、調整は容易ではなく、取引コストが高くつき、安価といううたい文句が脅かされる可能性がある。
シンプリファイ・アセット・マネジメントでQISベースの上場投資信託(ETF)を運用するジョン・ダウニング氏は「実際のリターンとバックテストの開きが考慮すべき重要ポイントだ」という。「大勢が同じプレミアムを追い求めるということは、それ自体が成功の犠牲者なのかもしれない」と語った。
ドミニセのドゥサーブ氏によれば、1000以上の戦略を分析した結果、約76%が運用開始後にリスク調整後リターン(シャープ・レシオ)が低下し、32%はマイナスになった。
継続的にオプションを売るような単純な戦略を提供するだけで、高額の手数料を得られる時代は終わったと同氏は指摘。模倣者たちは同業者の多くにとってハードルを上げているとの見方を示した。
「アクセスを提供するだけでは報酬は得られない」とドゥサーブ氏。「QISにはその市場がある」と述べた。
原題:Hedge Funds Pile Into Copycat Quant Trades They Once Derided(抜粋)
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Justina Lee