ビートたけしも示唆 ── もはや「視聴率」だけでは語れないエンタメ番組の人気
「2015年、パンドラの箱がついにこじ開けられた」──。これまでテレビ界は、放送している時間帯にどれだけの人が見ていていたのかを測る「リアルタイム視聴率」が長年ビジネスモデルとして定着してきたが、ライフスタイルの多様化を考慮して、今年1月より「タイムシフト視聴率(録画再生率)」も調査、公開されることになった。
ビートたけしも視聴率問題に言及
CMを飛ばされる可能性があるタイムシフト視聴率は、莫大な広告費を出資する企業の手前、これまで公にすることは絶対タブーとされてきた。しかし、そうは言ってもいられぬ状況にテレビ界も追い込まれているのだ。 「SNSに時間を費やす若者は、オンタイムで視聴するほど今のテレビに魅力を感じていない。そんな逆風の中、テレビ局側としては、リアルタイム視聴率に加え、『録画でもこんなに視聴者がいるんですよ』ということをスポンサーにアピールするために、録画率の公表へと踏み切った」(広告代理店社員) くしくもお笑い界の大御所・ビートたけしも現行の“視聴率”について、1日付の東京スポーツのインタビューで厳しい意見を寄せている。「番組の“視聴率”でエンターテインメントを測られちゃかなわないよ。今はゴールデンでも5%とか深夜番組並みの視聴率で、10%越えれば十分な時代になっちゃった。テレビ離れが加速しているようだけど、見方が違うんだ。ケータイとかビデオで見ているわけだ。オンタイムの視聴率で測るからおかしい」 本当に見たい番組こそ、録画して後でゆっくり視聴しようというのが心情。ゆえに、たけしの言うように、エンタメ番組の“おもしろさ”や“人気”を単純に“視聴率”という数字だけで判断してしまうのは、今の時代においては早計なのだ。
人気のバロメーターはネットにもあった!?
タイムシフト視聴率の導入は、番組の人気を測る新たな指標として期待がかかるが、ここ数年はインターネットもその役割を果たしてきている。 「今は番組名を検索するだけで、ヒット数が出る時代。視聴しているかどうかは別として、どのくらいの人が関心を持っているかは一目瞭然。また違法なものもありますが、YouTubeなどの動画サイトにアップされた再生回数も、その番組の人気を測る指標としては十分な判断材料になる」(TVウォッチャー) 瞬時にどれだけの人が見たのかが分かる、ネットの動画再生回数はまさに人気のバロメーターとしては打ってつけである。従って、テレビ局もこの点に注目し、新たなビジネスを展開している。 「動画サイトと連動した番組づくりが、このところ増えています。気軽に視聴できる番組をネットで配信して、再生回数の結果によっては、テレビの地上波で特番や、編集し直したモノを放送。さらに人気が上がれば、レギュラー化なんてこともある」(バラエティ番組ディレクター) こうしたネットの数字は、テレビ制作現場にも影響を及ぼしているとか。 「動画再生回数の多いコンテンツには注目していますし、番組HPやTwitterへの反響なども考慮する。キャスティングなんかも、タレントのTwitterのフォロワー数がどのくらいあるかを参考にする場合がある。スポンサーにいかに人気があるか分かるように、企画書に出演候補のタレントのフォロワー数をわざわざ明記しておくこともあります」(放送作家) 動画再生回数やフォロワー数といったネットならではの数字も、番組づくりに利用されているのだ。