アウトドア好きなわたしたちができるSDGs【#7 喜多川キャンピングベース】
アウトドア好きなわたしたちができるSDGs【#7 喜多川キャンピングベース】
「100年続く森をつくりたい」。その想いを掲げ3年前にオープンした埼玉県飯能市の北川地区にあるキャンプ場「喜多川キャンピングベース」。自然のなかでキャンプが楽しめるだけではなく、訪れた一人ひとりが森をつくり、愛される場所になること。そんな未来につながる構想を描く、支配人にお話を伺いました。
お話を伺ったのは
合田忠功さん 喜多川キャンピングベースの支配人。前職は「休暇村 奥武蔵」でホテルマンとして勤務。ワークショップやイベント企画のほか、自ら撮影・出演するYouTube動画でキャンプ場の魅力を発信中。
山を訪れて、森を知ることが自然と暮らしを守る大切な一歩に
――キャンプ場はまっすぐと伸びる杉の木に囲まれていて、各テントサイトの位置も、となり同士があまり干渉することなく、プライベート感があります。 合田 はい、谷地形をうまく生かしながら造りました。強い風も吹きにくく、快適にすごしていただけるかと思います。 ――すべてのサイトの地面にウッドデッキが敷かれていますね。 合田 社長の森田美明は、森田建設緑化という会社を経営していて、森林環境整備や木材の有効利用を経営理念に掲げ、林業や薪の販売等を行なっています。そのため、このキャンプ場に使われている木材は、すべて飯能の山で伐採されたもの。社長の弟さんが大工ということもあり、 センターハウスも含め、すべて自分たちの手で造ったものなんです。 ――山の斜面を整備し、キャンプ場にしようというアイデアは、まさに林業をやられている会社だからこそですね。 合田 一度でも人の手の入った山は、定期的に間伐をして管理していく必要がある。しかし昨今、手入れがされずに放置されている山が全国各地に多くあります。それが土砂災害の原因にもなっているんです。放置されてしまう大きな理由のひとつは、世の中で木材の利用が少なくなったから。木は一本切り出すだけでは赤字です。伐採する数を増やすには、もっと木材を使わないといけない。そのサイクルがあるからこそ、結果、山を守り維持することにつながっていくんです。 ――だから、ここはウッドデッキのサイトなのですね。サイトの中に残る木を生かしていたり、温もりある 雰囲気で、とても快適にすごせそう です。 合田 メンテナンスのたびに木材が必要になりますからね。必然的に循環が生まれています。キャンプ場の薪も、木材として出荷できずに残ったもの。木はゴミが生まれないんです。日本人はもっと木に誇りをもつべきだと思っています。 かつて、このあたりで育てられた良質な木材は、水量の多いタイミングで川に流し、東京まで運ばれて売られていました。木場のあたりには貯木場があったくらいで。いまでは飯能は木材の町であったことを知らない地元の人もいます。高麗川や越辺川、荒川へと流れ込む水の源流が、すぐそばの山にあるということも。