ちゃんぽんやタンメンはラーメンじゃない!? 深すぎるラーメン界のジャンル分け【ラーメン官僚】
ラーメンの種類について論ずる上で、もう一点、外せないポイント
ラーメンの種類について論ずる上で、もう一点、外せないポイントがあります。 「ラーメン」とされる麺料理の範囲は、時代が下がるにつれてどんどん広がっています。例えば、「担々麺」がその典型でしょう。というのも、私がラーメンの食べ歩きを始めた1990年代当時、ラーメン専門店が担々麺を商品として提供することは殆どなく、もっぱら中華料理店の麺料理のひとつという位置付けでした。 ところが、時代が下がり今では、醤油ラーメンと担々麺を共に提供するラーメン専門店は、日本中に星の数ほど存在する状況となっています。例えば、都内屈指の実力店『創作麺工房鳴龍』は、「醤油拉麺」、「塩拉麺」を提供する純然たるラーメン専門店ですが、「担々麺」も商品化しており、一番人気は「担々麺」です。今ではもはや、担々麺がラーメンの一種であることに異議を唱える人は、殆どいないでしょう。 かつては「ラーメンではない」とされていた「沖縄そば」や「長崎ちゃんぽん」も、最近では「広く考えて、ラーメンのバリエーションのひとつと考えても良いではないか」というムードになってきています。 「タンメン」も同じです。タレと出汁を合わせてスープを作る「塩ラーメン」と、タレを使わず、野菜を茹でる際に塩を溶かし込んでスープを作る「タンメン」とでは、製法からして根本的に異なりますが、2000年代以降、「タンメン」を手掛けるラーメン専門店が徐々に増え、今では、「タンメン」をラーメンでないと考える人の方が少ないのではないかと思います。 「担々麺」、「ちゃんぽん」、「タンメン」のような、ラーメンとみなされるようになってまだ日が浅い品々を、どの部門に位置付けるのが適当かといった議論は、今でもなお、複数のラーメン好きが一堂に会せば、時折交わされます。冒頭の10の部門分けは、あくまで今、ラーメンとされている品々について、できる限り「廊下に落とす」ことなく、各部門へと振り分けることができる、現状最適に過ぎません。今後、ラーメンのバリエーションが増えるなど、更なる変化が生じれば、自ずと変わっていくものなのです。 構成/大泉りか
ENTAME next編集部