川崎重工、潜水艦修理で架空取引17億円 防衛省が利益返納を要求 特別監察が中間報告
防衛省は27日、海上自衛隊の潜水艦修理契約を巡り、川崎重工業が架空取引で裏金を捻出し海自側に金品を提供していたとされる問題に関する特別防衛監察の中間報告を公表した。川重の架空取引は平成30年度から6年間で計約17億円に上るとした。同省は川重を厳重注意し、修理契約で架空取引に基づき発生した不適切な利益分を返納させる。 中間報告では海自の潜水艦乗組員の要望に応じ、川重側が架空取引や裏金を利用して飲食のほか艦内業務に使う工具類や家電製品、ゲーム機などを提供していたもようだと指摘。同省は、海自側の倫理規定違反に関して調査を続ける。 中間報告によると、川重は昭和60年ごろから出入り業者と結託し架空取引を始め、平成13年ごろからは3社を相手に続けられた。工事担当者が同省との修理契約では調達が認められない物品を業者に発注し、支払代金の一部を裏金としてプールした。 同省は修理契約の適正価格を算定するため、過去の修理で実際にかかった原価を調査するが、その際に川重は架空取引を含む原価を同省に提示していた。川重側に不適切な利益があったとして今後、返納額を算定する。 特別防衛監察では、川重と同様に潜水艦の製造や定期検査を担う三菱重工業にも作業や納品の一部不履行、仕様書にない備品の納入が判明。作業や納品の追加履行や相当額の返納を求める。同省は、潜水艦修理の契約方法を見直すなど再発防止に取り組む。 同省と川重は7月、架空取引による簿外資金で潜水艦乗員に金品を提供していた疑いがあると公表。当時の木原稔防衛相が特別防衛監察の実施を指示した。