ヘルシア売却で「緑茶サバイバル」号砲 生茶、伊右衛門も背水の陣
「やれることは全部やる」
新生伊右衛門は茶葉量を1.5倍に増やし、香りとうまみをそれぞれ引き出すべく、2種類の石臼びき抹茶を使用。伊右衛門として過去最高レベルの濃さを実現しながら、なめらかなコクも感じる緑茶になったという。 緑茶の大きなトレンドである「ゴクゴクすっきり」飲める路線から外れ、ある種、逆張りともいえる濃さに振り切って大丈夫かという声が社内ではあったというが、物価高のなかでも「わかりやすい質の良さ」を求める消費傾向は確かにあるとして、大リニューアルに踏み切った。 俳優の堺雅人さん、古川琴音さんを起用した新たなテレビCMを大々的に放映し、濃く、新しくなったことを伝えるため、店頭での見せ方も大きく変える。多田氏は「とにかく、やれることは全部やる。一度は飲んでいただきたい。全社一丸となって、新しい伊右衛門を成功させたい」と背水の陣で挑む構えだ。 アサヒ飲料も発売2年目となる緑茶ブランド「アサヒ 颯(そう)」のパッケージを、4月2日から改める。キリンビバレッジの生茶とは逆に、緑茶を想起する緑色を強調し、側面には商品の特徴である「微発酵茶葉」の説明を新たに加える。 一般的にシェア1位、2位に入らないと、スーパーの棚を面で大きく押さえるのは難しい。にわかに熱を帯びる緑茶サバイバルレースを制するのは、どのブランドか。ヘルシアがキリンに取り込まれたように、今年の売れ行き次第で、勢力図は一変するかもしれない。
酒井 大輔