【「老後と介護」のリアル 】看護師が語る介護脱毛のすすめ。医療・介護・QOLの視点で見ても「アンダーヘアはすでに役割を終えている!」
「毛は大切なところを守るためにある」という意見も根強くある。現代において、そもそもアンダーヘアの役割については、どう変わってきているのだろうか? 浜崎:私たち看護師は、医学の解剖生理を習う際、「アンダーヘアは思春期に、体が大人になる時に生え始める」という過程を学びます。ホルモンの作用から、アンダーヘアが生えるのは成長過程の一つとして捉えられているんですね。 けれども、衣類を身につけるのが当たり前になっている現代では、性器を保護するという意味でのアンダーヘアは、すでに役目を終えている、と考えてもいいのではないでしょうか? 森田:同感です。脇の毛のことを考えるとわかりやすいのですが、今はもう、ほとんどの方が脇の毛の脱毛を当たり前と捉えています。それと同様にアンダーヘアについても、今後は「ないのが普通」と変わっていくと私は考えています。見た目の問題としても衛生上の問題としても、これからは不要になっていく。今はその過程、過渡期にあるのではないでしょうか。 姜:そうですね。これからの方は、ぜひアンダーヘアについて考えていただくいいタイミングを迎えていると思います。でも今現在、高齢者で当院のような医療介護施設に入っておられるような方々は、みなさんアンダーヘアがあるのが普通。そういった方々のケアの改善についても、森田さん、そして浜崎と共に、新たな取り組みが始まっているところです。 アンダーヘアについては、長生きになったこと、ライフスタイルの変化に合わせて、40代50代もアップデートが必要な時期を迎えているのかもしれない。 次回はフィトテラピー(植物療法)による陰部洗浄液についてお話を伺う。
【話してくれたのは】 森田敦子さん 株式会社サンルイ・インターナッショナル代表。日本における植物療法の第一人者。植物療法に興味を持ち渡仏、フランス国立パリ第13大学で植物薬理学を学ぶ。帰国後、デリケートゾーン&パーツケアブランド「アンティーム オーガニック」の処方・開発や、「ルボア フィトテラピースクール」、フェムテック・ウェルネスメディア「WOMB LABO」を主宰。2022年、日本女性財団理事に就任。世界45の国と地域で刊行されている女性誌「ELLE」にて、「100 Women CHANGE MAKERS (エルが選ぶ世界のチェンジメーカー100)」に選出。 姜慧(かん・へ/Kang hye)さん 医療法人社団 八千代会 副理事長、鍼灸師。大手医療機器メーカー入社後、医療法人社団 八千代会 八千代病院開設時に携わる。2010年植物療法(フィトテラピー)との出会いにより、看護・介護現場の実践に取り組み、2021年自分自身と大切な人のためのケアブランド「Mesoins(メソワン)」を立ち上げる。2022年Mesoinsを一般販売し、新たな展開へと取り組んでいる。 浜崎 忍さん 八千代会グループ看護統括、メリィホスピタル副院長・看護部長・メリィデイズ管理者。フランスにおける医療・看護の視察時、補完代替療法として植物療法が日常的に行われている事を学ぶ。森田敦子さんと開発を重ねたトリートメントオイルを標準的なケアに活用、2018年メリィホスピタル開院時「看護でも選ばれる病院」をめざし植物療法を取り入れる。 撮影/石原写真事務所 石原慎太郎 取材・原文/井尾淳子