【「老後と介護」のリアル 】看護師が語る介護脱毛のすすめ。医療・介護・QOLの視点で見ても「アンダーヘアはすでに役割を終えている!」
浜崎:よろしくお願いします。アンダーヘアの量には個人差があり、年齢を重ねるにつれて、薄くなっていく方はたしかに多いと感じています。けれど、たとえその薄い毛であっても、おむつの中に便を排泄した後、「全くついていない状態にまできれいにするのは、とても難しい」という現実があるんですね。その理由は、排便後に毎回、必ずお風呂に入れてさしあげることは難しいこと。そして、おむつを長くはいていることで、アンダーヘアがパリパリに固くなってしまっている方もおられます。 それは衝撃的な話だ。 浜崎:アンダーヘアが固くなると、おむつの中でも違和感が出ます。森田さんがおっしゃったように、そこでもむれてかゆくなり、掻きむしってしまうことが多いんです。掻いてしまえばそこから雑菌が入る可能性があるし、抵抗力が弱っている時であれば、べつの病気の原因にもなってしまいます。そういったことから、医療介護や看護の立場から見ても、やはり「アンダーヘアーは、なくしておくに越したことはないのかな」と感じます。 森田:私が担当しているラジオ番組でも、「(最新刊著書を読んで)この先、自分の娘や施設の方にお世話になることを考えると、介護脱毛を今のうちにやっておいた方がいいですか?」という質問が増えてきています。 日本の文化から、「全部なくしてしまうのは恥ずかしい」と考える方もいると思いますので、私はいつも、「Vラインは残してもいいので、IラインやOラインはなるべく、なくしておいてください」とお答えするようにしています。 姜:「介護脱毛」という言葉が出てきたのも、人生100年時代になってきたからこそ、ですよね。寿命が50年60年の時代は、おむつをはく老後、アンダーヘアの関連についても、そこまで大きな議論にはなっていなかったと思います。でもこれからは、年齢を重ねた人がアンダーヘアについて考える時には、森田さんのおっしゃる腟ケアの大切さに加えて、「どうすれば自分の体を清潔に保つことができるのか」という視点から、考えていかれるのがいいのではないでしょうか。 浜崎:そうですね。実際に婦人科では、衛生面が原因で、高齢者の方が腟カンジタになるケースも非常に多いのです。