「名前負けしない」甲子園準Vの主将と副主将が目指す大学日本一 福岡大が阪神・梅野以来の明治神宮大会
明治神宮大会(20日から6日間、神宮球場)に福岡大が11年ぶりに出場し、初戦で日体大と対戦する。九州六大学リーグでは自力優勝の可能性が消滅した状態から逆転でリーグ優勝を決め、その勢いで九州各リーグの1位が争った九州大学野球選手権で優勝。神宮切符をつかんだ。快進撃を支えたのは高校時代に甲子園準優勝を経験した主将、副主将のコンビだ。 ■3年春の選抜大会の智弁学園戦で先制ソロを放ち、ガッツポーズする明豊・幸【写真】 チームを引っ張る幸修也主将と簑原英明副主将(3年)はともに明豊(大分)出身。3年春には選抜大会で決勝進出を果たした。「高校時代に大きな経験をした2人の力は大きかった。接戦で勝てたのも全国の経験があったからだと思います」と堀壮太監督は逆転優勝から九州選手権優勝までのVロードを支えた2人に信頼を寄せる。 明豊時代も幸が主将、簑原は副主将を務めた。大学でも2人は同じポジションで、もう一人の副主将の内山竜希(3年・宇部鴻城)と3人でチームをまとめている。主将は投票で決定。2年春から正捕手を務めていた簑原に対し、幸は今春までレギュラーに定着していなかった。それでも小学生のときからずっと主将を務めて身についたリーダーシップを買われ選手間の投票で主将に決定。得票数が2番目だった簑原が副主将となり高校時代のコンビが復活した。 「主将になるつもりはなかったけど、任せてくれるなら全力でやろうと思いました。気をつけているのはメリハリ。やるときはやるという集中力を意識しています」。自力優勝の可能性が消えてから3連勝で逆転優勝を決めた今秋のリーグ戦について「優勝とかは頭になくて応援してくれる人たちもいるので試合に勝つことだけを考えていました」と主将としてチームが浮足立つことなく目の前の試合に集中するムードをつくってきた。 崖っぷちから九州の頂点までの厳しい戦いを勝ち抜いたチームを引っ張った2人を支えたのは高校時代の経験だった。3年の選抜大会で松川虎生(ロッテ)が4番の市和歌山、智弁学園(奈良)、中京大中京(愛知)と全国区の強豪を接戦で破り決勝へ進出。決勝は東海大相模(神奈川)に敗れたが2―3の惜敗だった。「甲子園の経験が全て糧になっています。本当にいろいろな人に育ててもらったと感じた。あのときから自分のためではなく誰かのために野球をやると言う気持ちが強くなりました」と幸は言う。甲子園では京本真(巨人)とバッテリーを組んでいた簑原は「本当に学ぶことが多くて、あの経験が今も生きていると感じます」。甲子園で勝ち進むにつれ、自分たちがプレーするために本当にたくさんの人が支え、応援してくれていたことがわかった。応援してくれる人のためにどんなプレーもおろそかにしない気持ちは今も持ち続けている。 入学時の自己紹介で2人が挙げた目標は「日本一」。明治神宮大会は梅野隆太郎(阪神)が主将を務めていた2013年以来の出場となる。初戦の日体大戦に勝てば準々決勝は全日本大学野球選手権で日本一に輝いた青学大と対戦する。「ワクワクします。明豊でも1試合1試合、挑戦者としてぶつかっていった。名前負けしないで、全力でぶつかれば勝てるというのはあのときに経験したので優勝だってできると思っています」と幸主将は意気込む。チーム史上初のベスト4、さらにその上を目指して「最強」のコンビがチームを引っ張っていく。(前田泰子)
西日本新聞社