自由な精神を感じさせるストーリー作り「梨泰院クラス」原作者チョ・グァンジン
ドラマの構成の違いについては、以前の日本のドラマは10話程度で完結する作品が多かったと思いますが、韓国はもう少し長く16話程度ありました。ただ最近は、OTT(動画配信サービス)などの影響で、韓国ドラマも8~11話とストーリーの数が少ない作品も増えています。
――「梨泰院クラス」のキャッチコピーは“根性と血の気に満ちた若者が、理不尽な世の中で巻き起こすヒップな反乱“。ファッションも大変な話題を集めました。脚本を書く上でファッションはどのように考えていますか?
グァンジン:「洗練されている」「他とは違う個性的な強さ」「若さを感じる」。これらの意味を包括的に兼ね備えているものだと思います。ファッションはキャラクターの性格や志向が現れるものであると同時に、自分のアイデンティティーを表現するものです。「梨泰院クラス」の主人公パク・セロイの場合は、男性的な坊主頭に、韓国の軍隊の人たちが着るようなミリタリーアイテムを着せてマッチョなキャラクターを際立たせました。漫画の原作がある場合は、多くのファンたちに「イメージが違った」という思いを抱かせたくないですから、原作に忠実な衣装選びをすることが多いです。あと、キャラクターを書き分ける意味で、一番目立つ部分であるヘアスタイルやヘアカラーは特に重要視しています。原作がない作品の場合は、自分で衣装を考えることもありますが、ほとんどの場合は衣装チームや俳優たちと話しながら決めています。
――作品を作る上で、韓国の20~30代前半のMZ世代を意識されますか?
グァンジン:MZ世代には「正直」「若々しい」「自分の意見をしっかりと主張する」というイメージがある一方で、上の世代からは「自己中心的な行動をとる」「社会性に欠ける」というマイナスのイメージを持たれることが根強くあります。ですが、私はMZ世代に対してマイナスのイメージをも持っていないですし、社会性に欠けるような行為も見たことがありません。自分自身は30代後半ですが、若い世代と大きなマインドの違いがあるとは正直思っていませんので、特定の世代を意識した物語を作りたいとは考えませんし、自分が見たいと思う物語を描いています。