偏差値30の中2息子が社長...「会社経営をはじめた父子」に起こった変化
在宅勤務と休校で親子がキャリアと向き合った
親子副業は親のセカンドキャリア作りの方法論ですが、一方で子どものキャリア教育でもあります。そして親子関係を作る新しい方法論でもあるのです。 実は私の息子は"中学デビュー"に失敗していました。小学校から中学校に上がった時、友達作りも上手くいかず、自ら"陰キャ(陰気なキャラクター)"を名乗り、1人でいる時間も多かったです。そして学力テストではなんと偏差値30。正直、親として心配になりました。 そんな中学1年が終わろうとしていた時、新型コロナウイルスの蔓延により学校が休校になったのです。学校が休みになり1日中スマートフォンで動画を観て過ごす息子を見て、何か将来のためになることでもさせられないかなと思っていました。 そんな矢先に、何気ない会話の中で「どうやったらお金持ちになれるの?」と息子が聞いてきたのです。 これは良い機会だと思い、職業のこと、投資のこと、税金のことなどを、子どもでも読める本や動画などで学ばせました。その中には、本当にお金持ちになりたいのなら、会社員やアルバイトではなく、自分の会社を作ることが必要という内容もありました。まさにそれがコロナ禍で実現することになったのです。 きっかけは2人で学んだことを話していた時、息子の口から「お金の知識って大事だよね。同世代にもお金のことを教えたい」という話が出たのです。それだったら、まず自分たちが会社を作って子どもたち向けのお金の教育ビジネスをやろうと、とんとん拍子で会社ができたのです。そして会社設立のきっかけを作った息子が社長になりました。
ビジネスを学んだら、学校生活も充実していった
もちろん社長といっても会社経営ができる訳ではありません。実務的なことは私が引き受けつつ、息子には社長体験を通じて様々なことを学んでもらいたいなと思っていました。 実際に彼が社長になってからは、言語化する能力、プレゼン能力、ロジカルシンキング等、社会に出たら求められる様々な能力が鍛えられました。また株式会社の仕組みや会計の初歩といった知識も得られました。さらに、ただ学んだだけではなく、ビジネスとして数々の実績も残せました。 本稿を書いている2023年で法人は5期目に入っているのですが、その間に、次のような成果を出すことができました。 ・小中学生向けのお金の教室「Star Burst」を第6期生まで開催 ・「みたかビジネスプランコンテスト」で奨励賞受賞 ・教育委員会から表彰 ・行政や小学校、大手生命保険会社等から社長に講師のオファー 正直、偏差値30の息子がここまでの成果を出してくれるとは思っていませんでしたし、彼の学校生活にも好影響がいくつもありました。休校明けには学級委員に立候補して見事当選し、その後、落選はしてしまいましたが生徒会長にも立候補しました。 高校でも相変わらずの成績ですが、自己肯定感が高く、部活や学校のイベントなどに積極的にチャレンジしています。子どもの学校生活が充実していることが、親としてこんなに嬉しいことだとは思いもしませんでした。 さらに、家庭内でも良い親子関係が作れています。息子が会社を始めた中学2年生という時期は、"中二病"という言葉があるように、ともすると不安定な時期です。 そんな多感な時期にも関わらず、仕事をしている時はビジネスパートナーとして、お互い1人の対等な人間として接することができました。そのお陰か、息子が高校生になった今でも親子の仲はとても良好で、何より信頼関係を築けている気がします。 このように、親子副業は親の老後をハッピーにするだけでなく、子どもの将来もハッピーにできる副業方法です。もちろん将来だけではなく、親子二人三脚でやっていく中で親子関係も良くなるポテンシャルを秘めています。
野田拓也(株式会社バビロニア代表取締役)