“激闘王”八重樫が3.26再起戦。34歳で再びリングに立つ理由とは?
ただ、もう輝ける残り時間が少なくなっていることは自分でもわかっている。ましてダメージが半端ではない殴り合いのボクシングスタイルである。 「どんな風に終われるか。スポーツ選手の終わりなんてきれいなもんじゃない。それでも悔いの残らない終わり方ができれば」 復帰戦の内容次第では、次なるステージである4階級制覇の舞台に届く前に終わりになるかもしれない。松本トレーナーも、「練習では反応にまったく問題ないが、実際に試合になってどう反応できるかを気をつけて見てみたい。不安と期待と半々」と言う。八重樫自身も、「自分の立ち位置をハッキリさせる闘い」と考えている。逆に“激闘王健在”をアピールできれば間違いなくチャンスはくる。視聴率男である。テレビ局が放ってはおかないだろう。ある意味、ボクシング人生の今後を占うテストマッチだ。 「せっかくやるからにはモチベーションがいる。4階級への欲もあるし、おもしろいカードをやりたい」 沖縄での劇的1ラウンドKO勝利で、WBC世界フライ級王座の2度目の防衛に成功、15連続KO勝利の日本タイ記録に並んだ比嘉大吾(白井・具志堅)は、減量が苦しくスーパーフライ級へ上げてくるのは時間の問題。殴り合いが身上の2人の対決は、当然、究極の激闘王マッチとしてクローズアップされてくるだろう。だが、ジムの枠をこえて、白井・具志堅の野木丈司トレーナーの指導を受けて階段上りの“地獄トレーニング”を共有している同志だけに「できるなら避けたい、やりたくない」が、本音。 今後、スパー予定が組まれているWBO世界フライ級王者、木村翔(青木)への挑戦も、激闘必至で面白いカードに違いないが、そうなると4階級制覇という目標がなくなるために八重樫のモチベーションも微妙になる。それでも八重樫が再起に成功すれば魅力的なカードは浮かんでくる。 八重樫が年末の復帰用に用意していたシューズのカラーはグリーンだった。 「緑には再生の意味があるらしいんです」 激闘王再生──。 八重樫の復帰戦の相手のキャリアは、20勝(12KO)18敗2分。昨年12月にインドネシアのフライ級タイトルを獲得している。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)