オリックスの逆転優勝へのキーワードは「耐えて反発する」!
QVCマリンフィールドの三塁側ベンチ裏。9月21日、千葉ロッテ戦を7-2で快勝すると森脇監督は大きな通路の壁を背にして報道陣に囲まれた。「いつもこんなもんだよ。楽な試合はない。耐えてよく反発した。耐えるほうが力がいる」。耐えて反発――。 追いつかれても追いつかれてもあきらめなかった。3回二死二塁から満身創痍の糸井のタイムリーで先制したが、その裏、ディクソンの暴投のミスで追いつかれた。4回にはT―岡田のバックスクリーンへ右へ運ぶ21号でまた引き離すが、その裏、角中の犠飛で再び同点。だが、指揮官の言葉通り、耐えに耐えた。 7回には、一死から送られ、二死二塁とされ、横浜高から2007年に高校生ドラフトで1位指名された高濱を打席に迎えると、ディクソンから佐藤達にスイッチ。バッテリーごと代える念の入りようだった。結果は、サードへのファウルフライ。継投策は実り、それが8回の打線の爆発へとつながる。安達、糸井の連打からチャンスを広げ、一死二、三塁でT-岡田が敬遠されて満塁となると、ヘルマンが、その初球をセンターへ。涌井が出したグラブの下をすり抜けていく。さらに涌井から左の藤岡にスイッチされると代打・川端。併殺崩れの間に一人が生還して、駿太が死球で歩き、再び満塁にすると、その前の回からマスクをかぶっていた伊藤が、左中間深くに走者一掃となるタイムリーツーベースを放って勝負を決めた。 連敗を止めた森脇監督は、優勝への勝利マネジメント論をぶった。「私は、ずっと言い続けているが、(勝利するためには)耐久力と反発力が必要。年に何回かは、早々と勝ち負けが決まってしまうゲーム展開の試合もあるが、終盤にきて、どのチームもコンディションを整えてきていると、こういうゲームになる。よく耐えたし、よく反発した」。 昨日はストッパー平野が2点を守れず、悔やみきれないサヨナラ負けを喫した。試合後に緊急ミーティングした森脇監督は、「昨日のことはもう関係ない。引きずっていない。終わったものはしょうがないし切り替えていった。我々がコントロールできるのは、これから、今か先のことだけだ」と思いつめたように勝負師の原則を口にした。 そういう指揮官の気持ちを汲み取ったかのように、一振りで勝負を楽にした伊藤は、「昨日は、本当に悔しかったです。今日もベンチで勝つことを祈っていましたし、自分が出たらやり返してやるという気持が強かったのでこうやって勝てた」と言う。