「年収106万円の壁」が撤廃…!?年収制限がなくなるとどのような影響が出る?
2024年12月、厚生年金保険の「年収106万円の壁」(賃金要件)撤廃案が大筋合意されたと報道されました。厚生労働省によると、賃金要件が撤廃もしくは最低賃金の引き上げがされれば、110万人が新たに被保険者となるそうです。 ▼扶養内で働いてるけど、労働時間が「週20時間」を越えてしまった!「社会保険」に加入する必要はある? 一方で「自分にどのように影響するか分からない」という人もいるかもしれません。そこで今回は、賃金要件撤廃について次の3点を解説します。 ・賃金要件の対象者 ・賃金要件撤廃の影響 ・賃金要件撤廃の理由
賃金要件の対象となる「短時間労働者」の定義
まずは、賃金要件の対象となる「短時間労働者」の定義を確認しましょう。日本年金機構によると、短時間労働者とは、次の6つの条件すべてに該当する人のことです。 1.従業員数(現在の厚生年金保険の被保険者数)が50人を超える事業所、もしくは国・地方公共団体に属する事業所で働いている(例外あり) 2.1週間の所定労働時間または、1ヶ月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3未満である 3.週の所定労働時間が20時間以上ある 4.所定内賃金(通勤手当、残業代、賞与などは含まない)が月額8万8000円以上ある 5.2ヶ月を超える雇用の見込みがある 6.学生ではない 上記のうち4番目の条件が賃金要件にあたり、年収に換算すると約106万円になることから「106万円の壁」とも呼ばれます。 同じく日本年金機構によれば、厚生年金保険の被保険者になると、毎月の標準報酬月額と標準賞与額に保険料率18.3%をかけた値が保険料として徴収されます(半額は事業所が負担)。 なお、標準報酬月額とは月収を区切りのよい幅で区分したものであり、例えば、月収が9万3000円以上10万1000円未満の場合、厚生年金保険料の計算上は「標準報酬月額9万8000円」として一律に扱われます。 また、標準賞与額とは、税引き前の賞与から1000円未満の端数を切り捨てたもので、例えば、賞与が20万2500円の場合、500円が切り捨てられ「標準賞与額20万2000円」として扱われます。なお、支給1回(同月に2回以上支給された場合は合算)につき、150万円が上限となります。 パートやアルバイトでも、1週間の所定労働時間または、1ヶ月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3以上であれば、賃金にかかわらず厚生年金保険に加入しなければなりません。