最後のパリ・マスターズを終えたガスケが心境吐露「キャリアに終止符を打つのは簡単ではない」。引退は来年の全仏<SMASH>
現在開催中の男子テニスツアー「ロレックス・パリ・マスターズ」(10月28日~11月3日/フランス・パリ/室内ハードコート/ATP1000)で初戦敗退を喫し、同大会ラストマッチを終えた元世界7位のリシャール・ガスケ(フランス/現133位)。試合後の会見では引退を決断した理由を説明するとともに、今後のプランを明かした。 【動画】パリ・マスターズのベルグス戦でガスケが見せた見事なバックハンドウイナー ツアー16勝を誇る38歳のガスケは、10月10日に応じた仏メディア『レキップ』の取材で来年の全仏オープン(フランス・パリ/クレー/四大大会)を最後に現役を退くと発表。最後の「パリ・マスターズ」出場となった今大会は本戦ワイルドカード(主催者推薦)で参戦し、現地29日の初戦ではジゾー・ベルグス(ベルギー/65位)と顔を合わせた。 第1セットで得た計3本のブレークポイントを生かせなかったガスケは、反対に第4ゲームで先にサービスダウンを喫する苦しい展開。そのまま3-6で先行されると、第2セットも流れを変えられずに4-6で落として2回戦進出を逃した。 試合後に挙行された特別セレモニーでは感極まった様子を見せたガスケだったが、その後の会見では「まだ自分のキャリアを振り返る心の準備ができていなかった。物事には常に最初と最後があるが、今回は初めてのことだったからね」と率直な気持ちを吐露。続けて今大会を振り返りつつ、来年の全仏での引退という大きな決断を下した理由を自身の現在のランキングを踏まえてこう説明した。 「パリ・マスターズのためにたくさんの準備をし、自分の持っている力を出し尽くしたいと言い聞かせてきたが、最終的には期待していたほどのレベルにはならなかった。僕が今のランキングにいるのにはそれなりの理由がある。僕は世界130位で今季を終えようとしているが、それこそがキャリアを終える決断を下した理由だ。そうでなければ、今すぐ引退を決めるなんてことはなかっただろう。今は幸運なことに体調も良く、良いプレーができていて、今後の試合も楽しみにしている。全仏まではケガなく、できるだけ楽しみたい」 来季はキャリア最後の大会となる全仏までは、主に自国開催のトーナメントに参戦したいと語る。「パリ・マスターズ」への感謝の言葉を交え、こう締めくくった。 「モンペリエとマルセイユで最後にプレーしたい。心の中でそう思っている。フランスでのチャレンジャーや全仏に加え、モナコでも予選をプレーしたい。良いシーズンを過ごすのに役立つ素晴らしい大会が幾つかあるから、この調子を維持していきたいと思う。 パリ・マスターズか全仏のどちらで引退するのかと多くの人に聞かれたが、全仏で引退するのは良い選択肢だと思う。キャリアに終止符を打つのは決して簡単なことではない。このような形でこの大会を終えられてとても感動している」 華麗な片手バックハンドでファンを魅了してきたガスケのプレーが見られるのも残り少ないと考えると非常に寂しいものだが、どうか引退の日まで充実したツアー生活を送ってほしい。 文●中村光佑