なんと、「人の背丈」ほどまでに、小さくなった…「日本にしかいなかった」ゾウの意外な容姿
日本を代表するゾウ類
ステゴドン類だけではなく、太古の日本には多種多様な長鼻類が生息していた。かつての日本は、長鼻類大国だったのだ。 そうした長鼻類の中で、最も多くの化石を残している種は、ゾウ類の「パレオロクソドン・ナウマンニ(Palaeoloxodon naumanni)」だ。通称、「ナウマンゾウ」である。 ナウマンゾウの大きな個体の肩高は3メートルを超える。頭部に最大の特徴があり、額から側面にかけて、目立つ凸構造がある。この構造があるため、ナウマンゾウは「ベレー帽を被っているような」と形容されることが多い。 化石は、ほぼ全国から産出する。むしろ、ナウマンゾウの化石を産出しない県を挙げた方が早いくらいだ。約34万年前の氷期の時期に陸化した東シナ海や対馬海峡を経由して日本にやってきたとみられている。その後、日本列島を南北に移動しながら栄え、温暖な時期には津軽海峡を泳いで渡って北海道にまで到達した。 なお、ナウマンゾウの「ナウマン」、つまり、パレオロクソドン・ナウマンニの「ナウマンニ(naumanni)」は、明治時代に来日し、東京帝國大学の教授を務め、日本の近代地質学の構築に多く貢献したドイツ人地質学者、ハインリッヒ・E・ナウマンへの献名である。 カラー図説 生命の大進化40億年史 シリーズ 全3巻で40億年の生命史が全部読める、好評シリーズの新生代編。哺乳類の多様化と進化を中心に、さまざまな種を取り上げながら、豊富な化石写真と復元画とともに解説していきます。 サピエンス前史 脊椎動物の進化から人類に至る5億年の物語 ヒトに至る長い進化の道程を、およそ70の道標を頼りに旅するーー脊椎動物の先祖が、どのように体を変え、新しい特徴と能力を手に入れ、サピエンスへ近づいてきたのか。様々に枝分かれを繰り返すなかで、ホモ・サピエンスへとつながる道筋をたどる大進化史。
ブルーバックス編集部(科学シリーズ)