劇場アニメ「ルックバック」主演の河合優実と吉田美月喜が語る「物語が持つ力」――「人生を救うこともできる」
漫画への情熱が、少女2人の思いをつなぐ――。「チェンソーマン」や「ファイアパンチ」などで知られる人気漫画家・藤本タツキが2021年に発表した読み切り漫画「ルックバック」。ポップカルチャーや実在の事件への言及、漫画を通じ創造の可能性と業を描く俯瞰的な視点など、多層的で奥行きのある物語は、公開するやいなや瞬く間に話題となり「このマンガがすごい!2022」オトコ編第1位にも輝いた。そんな「ルックバック」が劇場アニメとなり、6月28日に全国公開された。監督・脚本・キャラクターデザインを担当したのは「風立ちぬ」(13)をはじめ、数多くの劇場アニメーションに主要スタッフとして携わり、世界中から支持を集める押山清高。主人公の藤野と京本を演じるのは、ともに声優初挑戦となる河合優実と吉田美月喜だ。2人は藤本タツキと押山清高が作り上げたキャラクターにどのように魂を吹き込んだのか、話を聞いた。 【画像】劇場アニメ「ルックバック」主演の河合優実と吉田美月喜が語る「物語が持つ力」――「人生を救うこともできる」
声優に初挑戦
――初めて原作漫画「ルックバック」を読んだときの感想はいかがでしたか?
河合優実(以下、河合):「少年ジャンプ+」で公開当時に「ルックバック」を読みましたが、時間が交差するアイデアはもちろん、藤本タツキさんが考える創造的なことや、その当時感じていたことを乗せて描いているのがとても面白いなと思いました。そして何より、その熱量が読んでいるみんなに伝わっていった現象自体がすごく印象に残っています。
吉田美月喜(以下、吉田):私が原作に初めて触れたのは本作のオーディションを受けることが決まってからで、当時は藤野と京本どちらを演じるか分からないまま読んだんです。元々藤本タツキ先生の「チェンソーマン」は読んでいて、バトルもののイメージが強かったので「ルックバック」での作風や語り口の違いに驚かされました。日常の温かみもありつつ、すごく漫画ならではの力を感じる素敵な作品だったので、これがどう映像化されるんだろうと読みながらワクワクしましたね。