総務省の会議、ネット誤情報「解消どころか悪化」「負の影響大」
インターネット上で拡散されるウソの情報にどう対応するか。新たな法制度を視野に議論する総務省の有識者会議は10日、プラットフォーム(PF)事業者に求める「責務」として、情報流通の適正化のために、投稿の削除やアカウント停止などを挙げた。ただ、表現の自由の制約につながる措置には慎重な声も根強い。 有識者会議は昨年11月に発足し、議論を続けてきた。会議ではこの日、とりまとめに向けた骨子案が示された。 案では、偽・誤情報の流通、拡散について「社会全体への負の影響が大きい」と指摘。これまでPF事業者などが自主的に対応してきたとしつつ「問題は解消するに至っていないどころか、問題が顕在化、深刻化しており、状況の悪化が見込まれるのではないか」と厳しく指摘した。 焦点になるのは、PF事業者の責務だ。 案には「情報の削除基準の策定や削除の実施を含め、情報流通の適正化について一定の責任がある」と明記。アカウントの凍結や停止、注意喚起を促すラベルづけ、表示順位の低下などを講じることを例に挙げた。自社サービス上に表示される広告の質の確保に向けた取り組みも求めた。 政府には、PF事業者との緊密な連携を促しつつ、「法と証拠に基づく迅速かつ確実な対応」にも言及した。 インターネット上のウソや誤った情報をめぐっては、1月の能登半島地震で、X(旧ツイッター)に「家族が下敷きになっている」といった根拠不明の情報を、被災者ではないユーザーが拡散。消防や警察の救助活動の妨げとなる事態が起きた。こうした投稿が増えているのは、表示数に応じて収益が得られる仕組みも背景にある。 総務省は震災直後、X社やフェイスブックを運営する米メタ社などプラットフォーム事業者に、不適切な投稿の削除などを念頭に、適切な対応をとるよう要請。だが現状は、事業者の任意の対応に委ねられていて、強制力はないのが実情だ。
朝日新聞社